
SNS投稿で収益獲得も可能
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは17日、ソーシャルネットワーキング、ミニアプリ、チャット、決済、トレーディングなど様々な機能を持つアプリ「Base App」を発表した。
セルフ・カストディウォレット「Coinbase Wallet」を「エブリシングアプリ」としてリブランドしたものだ。イーサリアム(ETH)L2チェーンBase上で動作するもので、7月16日よりベータ版についてウェイティングリストの登録を受け付けている。
ソーシャルネットワーク機能では、ユーザーは自分のコンテンツに人々が反応すると報酬を得ることが可能だ。
分散型SNS用のオープンプロトコル「Farcaster」を搭載したソーシャルフィードで投稿の作者は、NFT(非代替性トークン)プラットフォーム「Zora」を通じて各投稿をトークン化し、チップや売上から直接収益を得ることができる。
こうした機能により、仮想通貨ユーザーにとどまらない新たなユーザーを呼び込むことを目指しているとみられる。
その他、「Base App」にはゲームから予測市場まで数百ものミニアプリが組み込まれている。ワンタップでのステーブルコインUSDC決済に加え、暗号化されたメッセージング機能を使ってコンテンツを共有したり、AI(人工知能)エージェントと取引したり、送金することも可能だ。
また、米国のユーザーは「Base App」でUSDCを保有すると、最大4.1%のAPY(年利)報酬を獲得できる。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
コインベースは、「Base App」を支える2つの主要機能も導入した。様々なアプリやチェーンをまたいで使えるスマートウォレット・本人確認システム「Baseアカウント」および、USDC取引を可能にする決済サービス「Base Pay」である。
Shopifyの加盟店はすでに「Base Pay」による決済を取り入れることが可能で、米国のユーザーは今年後半からショッピングで1%のキャッシュバックを受けられるようになる見込みだ。
コインベースは、取引サービスにの他にも、収益源の多様化に取り組んでいるところである。ステーブルコイン、ステーキング、カストディなど、サブスクリプションおよびサービス事業からの収益もこれにあたる。
特に2月、同社のブライアン・アームストロングCEOは今後のさらに高い目標として「USDCをナンバーワンのステーブルコインにする」ことを目指していると話した。
USDCはコインベースとサークル社が共同で立ち上げたステーブルコインだ。
両社はUSDCについて収益分配契約を結んでおり、コインベースは同社製品で保有するUSDCの利息収入の100%、同社外のUSDCの利息収入の50%を受け取っている。
なお、現在ステーブルコイン市場ではテザー社のUSDTが他を大きく引き離しており、その時価総額は約24兆円だ。2位のUSDCの時価総額は約9兆円である。
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