破綻寸前の取引所も
大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン=フリードCEOは、米フォーブス誌に対し、一部の仮想通貨取引所が破綻寸前である可能性を示唆した。
名指しは避けたものの、「密かに債務超過に陥っている第三層(中小規模)の取引所もある」と警告。「あまりにも行き詰まっていて、支援策を講じるのが現実的ではない」いくつかの企業があると述べた。
フォーブズは、ほぼ規制のない領域で運営される取引所は、世界で600を超えると指摘。規制に準拠した主要取引所と同様、多種多様な仮想通貨の取引を始め、最大元本の20倍という”寛大な”融資も提供しているという。
サム氏が懸念する取引所の経営内容は、バランスシートに相当な穴が空いていたり、規制上の問題を抱えていたり、そもそも救うべきビジネス自体が残っていない状況だという。
エコシステムの成長のために
テラ(LUNC)やテラUSD(UST)の急落騒動に端を発し、顧客資金引き出しの停止措置をとったレンディング大手セルシウスなど、仮想通貨業界全体に負の連鎖が続く状況で、サム氏は困難に陥った仮想通貨企業の救済に積極的に手を差し伸べている。
悪影響の波及をくい止めるために、たとえ我々が損失を出していたとしても、救済を真剣に検討する責任がある。我々が問題の原因でなくても、関係していなくも同じだ。 それがエコシステムの健全性につながる。私はエコシステムの成長をサポートしていきたい。
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同氏の率いるFTXはこれまでも、ハッキング被害を受けたグローバル仮想通貨取引所Liquid Globalなど、運営で困難に直面する企業を救済してきた。
市場が低迷する中、FTXは仮想通貨金融サービス企業BlockFiに約340億円(2.5億ドル)を融資。また、FTXの親会社に当たる仮想通貨投資・トレーディング企業「Alameda Research」は、仮想通貨取引プラットフォームVoyager Digitalに、約260億円(2億ドル)相当のステーブルコイン(USDC)と、15,000 BTCの信用供与枠を提供した。
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顧客保護を優先
サム氏は、顧客の資産保護の重要性を強調している。
Backstopping customer assets should always be primary. Everything else is secondary.
— SBF (@SBF_FTX) June 27, 2022
顧客資産のバックアップは常に最上位であるべきだ。 他のことは二の次である。
サム氏はBlockFiに融資を行うにあたり、BlockFiチームの「慎重なリスク管理能力と迅速な行動力」に言及し、同社の顧客資産保護を優先する姿勢を高く評価していた。
同氏が融資を回収できる保証はないとフォーブズは指摘。しかしサム氏は「事態を安定させ、顧客を守るために必要なことであれば、多少損をする取引も厭わない」と述べた。
フォーブズは、サム氏が資金提供するのは、「仮想通貨市場の健全な回復と成長に、自身の財産がかかっていることを十分理解しているため」だと、突き放した見方をしている。
一方、サム氏は「効果的利他主義」を提唱していることで知られており、FTXは人類の未来を改善するために、最大で1,150億円規模となる慈善基金「FTX Future Fund」をローンチ。同氏が主な資金提供者となる。
効果的利他主義とは
効率とインパクトを最大化し、他者に貢献して社会をより良くすることを目的とする考え方であり、そのような社会運動を指す。確かな証拠と論理に基づいて世界の向上を目指す。
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