ムード一変でビットコイン急落、注目集まるFRB議長の経済見通し|bitbankアナリスト寄稿

今週(13日〜19日)の仮想通貨相場

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

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アクティブアドレス数(月次)

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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

13日〜19日レポート:

今週のビットコイン(BTC)対円は、330万円台後半から小幅に3段下げを演じ、19日正午時点で、310万円周辺で推移している。

中国人民銀行の予想外の利下げに反応し、週明けから330万円台に乗せたBTC相場だったが、同国の主要経済指標が軒並み下振れとなると上値を重くし、アルトコインの売りも加わり急反落し320万円割れを試した。

もっとも、対ドルで節目の2.4万ドルとなる同水準で相場は下げ止まると、好悪材料入り混じる中、週央まで揉み合いが続いた。

週央17日には、相場は戻りを試したが、米株先物が安値を広げる中、ハッシュレートの急低下も警戒感を誘い反落。さらに米小売大手Targetの決算が市場予想を大きく下回る結果となり、320万円を割り込んだ。

一方、警戒されていた7月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、経済への影響を考慮して利下げを行うタイミングがくるとの言及があり、相場は310万円台中盤で下げ止まった。

ただ、議事要旨では、物価が2%に戻る軌道にしっかりと乗るまで引き締めペースを維持するのは適切との指摘もあり、市場では利上げペースを見極めるムード広がった。

18日には、セントルイス連銀のブラード総裁が、9月は75bp利上げ支持に傾いていると発言したことや、カンザスシティー連銀のジョージ総裁が、7月のインフレ統計減速は高インフレの根本的な問題解決の証拠とはならないと発言したことでムードが一変。BTCは19日朝方から上値を重くし、310万円割れを試している。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】出所:bitbank.ccより作成

BTCは2.5万ドル水準となる340万円の上抜けも近いと見ていたが、決定的な材料もなく失速してしまった。加えて、7月の米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)の予想以上の低下を受けて、市場が9月FOMCでの50bpを織り込み始めた矢先に複数米地区連銀総裁が積極姿勢を維持したことで、期待感に冷や水を浴びせた。

BTCの対ドル相場は、すでに200週移動平均線が走る2.3万ドルをわずかに割り込んでおり、目先では同水準を巡る攻防が見込まれる。相場がもう一段と水準を下げたとしても、日足一目均衡表の雲下限や55日線が密集する2.2万ドル周辺のエリアが下値目途として挙げられる。

さて、BTC相場が危うい状況となる中、来週は26日に米個人消費支出(PCE)と毎年恒例のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演が控えている。市場は9月からの利上げペースについてヒントを得ようとしている為、どちらも重要ではあるが、やはりFRB議長の経済見通しが最重要となるだろう。

今週はブラード総裁やジョージ総裁意外にも、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も積極的な政策引き締めの支持を示し、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も75bp利上げは選択肢の一つと述べており、パウエル議長も利上げペースについて足並みを揃えてくるか、市場は警戒するだろう。

ただ、積極的な利上げによる経済への影響は紛れもなく出始めており、講演では景気のさらなる減速にも触れると予想され、ジャクソンホール会議を期に利上げサイクル転換時期見通しに関するヒントも出して、市場の警戒感をオフセットする可能性もあるか。

過去にはジャクソンホール会議が政策の重要な転換点となった年もあり、昨年は2021年内のテーパリング開始が発表されていた。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:bitbank_markets公式サイト

前回のレポート:目先では底堅い展開、継続的なインフレ沈静化サインは要確認

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