NFTインサイダー取引訴訟 被告側が3つの要求

OpenSea元従業員側が新たな申し立て

大手NFT(非代替性トークン)市場「OpenSea」でインサイダー取引に該当する行為を行なったとして訴えられたNathaniel Chastain氏は、OpenSeaからの文書提出など3つの事項を求める申し立てを行った。コインポストの提携メディアThe Blockが報じた。

経緯

米司法省は6月、OpenSeaの元従業員Chastain氏がインサイダー取引やマネロンを行っていた疑惑で訴訟を起こした。

訴状によると、Chastain氏は2021年に、OpenSeaのプラットホーム上で特集されるNFTを選択する役割にあった。対象となるNFTが掲載される前にそれらを多数購入し、掲載により値段が上がったところで売却して利益を得ていたという。

Chastain氏側の弁護士は、「NFTは証券でも商品でもないために、今回の件はインサイダー取引の定義に該当しない」「政府は、デジタル資産分野での先例を設定するために、根拠なく拙速な訴訟を起こした」と主張していたところだ。

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NFTとは

「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。

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3つの要求事項

今回Chastain氏側はまず一つ目の要求として、同氏が利益を上げるために利用したとされる情報がOpenSeaの「財産」とみなされるかどうかに関して、裁判所がOpenSeaから文書を取り寄せることを求めている。

Chastain氏と他の従業員との間のSlackメッセージや、OpenSeaの機密保持ポリシーに言及した文書や通信、OpenSeaと政府がやり取りした文書や通信、OpenSeaのCEOと共同創設者の文書や通信で、Chastain氏に言及したものなどの提出を希望する形だ。

OpenSeaの幹部が、Chastain氏のインサイダー疑惑に関する活動に気付いていたかどうかに関する文書も挙げている。

Chastain氏側は2つ目の要求として、訴状から「インサイダー取引」という言葉を削除することも求めている。この言葉は「扇動的」で、Chatain氏が訴えられた件とは無関係であると述べ、検察がこの言葉を使うことや、法廷でこの言葉を使うことを禁じるよう裁判所に求めた。

Chastain氏側は、申立書で次のように主張している。

訴状におけるこの用語の使用、および裁判におけるこの用語への言及は、法的な追及プロセスには貢献しない。これは、政府がメディアの関心を高め、陪審員を扇動するための手段に過ぎない。

今回の訴訟で検察側は、インサイダー取引事件でよく用いられる証券詐欺法ではなく、電信詐欺法の下でChastain氏を訴えている。このため、検察はNFTが法律上の証券であるかどうかということを証明する必要はないとみられているところだ。

検察はChastain氏に、マネロンの他、OpenSeaの機密情報を盗んだという疑いをかけている。

インサイダー取引とは

一般的に、会社の内部者しか知り得ない重要な情報を知る者が、知り得た情報に基づいて、その情報が公表される前にその会社の株式を売買すること。

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Chastain氏側は3つ目に、FBIが自宅を捜索した際に押収した証拠をすべて破棄することも求めた。背景として、捜査当局が、不当な捜索や押収に対する法律などに違反したと主張してる。

申し立てによると、2021年9月にFBIが自宅を捜査した際、捜査官はChastain氏の電子機器の一部を押収。FBI捜査官はChastain氏に携帯電話のパスワードを尋ねていたが、これは「違法な尋問」であるという。

さらにFBIは、Chastain氏の携帯電話にアクセスする権限について偽りを伝え、Chastain氏の権利を伝えることもなかったとしている。Chastain氏は、以上のような理由を挙げて、家宅捜査の際に同氏が行った発言や、携帯電話から収集した証拠を、裁判で使わないように求めた。

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