金融安定理事会EU部門と米ホワイトハウス、FTX危機を注視
FSB欧州協議会、「緊急の注意を払う必要」
金融安定理事会(FSB)の欧州協議会は10日、ポルトガルで会合を開き、暗号資産(仮想通貨)によるリスクに対処するための政策についても議論した。仮想通貨規制を促進することなどを話し合っており、米仮想通貨取引所FTXの危機にも間接的に言及した。他に、米ホワイトハウスの報道官もFTXの状況を注視すると話している。
FSB欧州協議会は、次のように述べた。
最近の市場動向を踏まえ、分散型金融(DeFi)や取引プラットフォーム、さらに複数機能を統合した、いわゆるクリプト・コングロマリットや取引所については、緊急に規制上の注意を払う必要があることを確認した。
明言はしていないものの「最近の動向」という文言は、大手仮想通貨取引所FTXの流動性危機を踏まえたものとみられる。
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規制について協議書を発行済
FSB欧州部門は、FSBが10月に発行した、国際的な仮想通貨規制枠組みについての協議書が、今後仮想通貨関連の活動から生じるリスクを特定、監視、対処するための枠組みを確立していく上で大きな一歩であるとしている。
FSBが提案する規制枠組みの最終決定後、それを効果的に施行するためには、さらに作業が必要であることにも合意した。
FSBは10月の協議書で、仮想通貨の発行者や、サービスプロバイダーなどは、それぞれの活動の規模、複雑さ、リスクに見合った運営管理を行い開示要件などに従う必要があると述べていた。
仮想通貨市場に対する規制・監督手法の包括性と、国際的な協調の向上を目指すとしている。
FSBは5月に崩壊した旧テラエコシステムのステーブルコインUSTにも言及。FSBが提案しているハイレベルな勧告を適用すれば、USTは基準に合格しなかったとも言及した。
FSBは協議書への意見を12月15日まで受け付けており、規制勧告の最終報告書は2023年夏に発行が予定されている。
ホワイトハウスもFTXの状況を注視
米大統領府も、FTXの経営危機と仮想通貨市場の活動を監視しているところだ。ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官は10日、記者会見で次のように説明した。
バイデン政権は、適切に監視されない場合、仮想通貨が米国人に害を及ぼす危険があると一貫して主張してきた。
最新のニュースは、こうした懸念をさらに強め、仮想通貨に対する慎重な規制の必要性を高めている。
規制当局はホワイトハウスから独立しているため、ホワイトハウスがそれらの当局にすべき行動をコメントすることはできないと留保しつつ、「ホワイトハウスはFTXの経営危機を認識しており、状況を監視し続ける」としている。
バイデン政権では、3月にバイデン大統領が署名した仮想通貨に関する大統領令を受けて各省庁が調査を行い、9月に政策方針を発表したところだ。消費者保護や金融安定化、環境への取り組みなどの項目を盛り込んでいる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します