大手DEXユニスワップ、ユーザーデータの取得方針掲げる 違法行為対策や法令遵守など目的に
Uniswap Labsのプライバシーポリシー
大手DEX(分散型取引所)Uniswapの開発企業であるUniswap Labsが17日、プライバシーポリシーを更新。違法行為対策、法令遵守などを目的に、ユーザーデータを収集する方針を示した。
17日付のプライバシーポリシーによると、取得対象となる情報はブロックチェーン上の取引記録(オンチェーンデータ)だけでなく、モバイル端末ID、ブラウザバージョン、Cookie(閲覧履歴など)、Webビーコン(アクセス解析)などブロックチェーン外のデータ(オフチェーンデータ)が含まれる。
対象となるアプリケーションは「Uniswap」のウェブインターフェース。ニューヨークに拠点を置くUniswap Labsが管理する全プロパティ、製品、およびサービスである。
例えば、購入したトークン履歴から、サービス機能をパーソナライズする場合があるという。Uniswap Labsは収集したデータに基づいてユーザーエクスペリエンス向上を図る意向を強調しているが、以下のような他の目的にも使用される場合があると述べている。
- バグなど、潜在的なセキュリティ問題の解決
- 違法行為の阻止、対策
- 法令順守。規制当局、政府機関、法執行機関の要請対応
一方、ユーザーの身元情報(氏名、住所、生年月日)や、その他EメールアドレスやIPアドレスなどの個人データは収集しない、また取得したデータはマーケティング目的で使用されないことが明記されている。
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FTXハッカーがUniswapを使用
経営破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXから不正流出した資産に関して、追跡調査からUniswapが使用されたことが明らかになっている。FTXから不正に資産を抜き取ったハッカーは、20日時点に推定6億ドルの228,523ETHを保有していたとされる。
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Uniswap Labsのポリシーの範囲にDEXのスマートコントラクトは含まれていないが、仮想通貨投資家の間では、フロントエンドでこうした違法行為者に何らかの対策が取られる可能性も推測されている。
プライバシーポリシーの更新を告知した11日のブログ投稿で、Uniswap LabsはWeb3のポリシーを尊重しつつ、サービスの「透明性」を提供したいとして、以下のように述べている。
Web3は、ブロックチェーンに関するイノベーションにより、数十年に渡ってインターネット企業が浸食してきたユーザーのプライバシーと選択肢を取り戻すことを目指している。Uniswap Labs はこれらの価値観を共有し、この取り組みのリーダーになるために取り組んでいる。
そのため、当社は新しいプライバシー ポリシーをリリースする。保護しているデータと、収集したデータの使用方法について明確にしたい。透明性が重要。ユーザーを驚かせたくない。
また、FTXの破綻により、仮想通貨サービスプロバイダーによる顧客資産管理手段の「透明性」が重要視されている。保有資産の残高確認「Proof of Reserves(プルーフ・オブ・リザーブ)」においては、大手バイナンスを筆頭に仮想通貨取引所が顧客資産を管理するウォレットアドレスを公表。日本法人ではクラーケンジャパンが透明性へのコミットメントとして実施した。
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーンを活用して非中央集権型のネットワークを実現する試みやそのネットワークを指す。ユーザーが自らブロックチェーンに保存されたデータの管理や活用を行うことで、新しい価値を創出する活動が世界的に広がっている。
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