ビットコインマイナーに降伏シグナル、BTCの実現損失は過去4番目の水準に

マクロ経済と金融市場

29日の米NY株式市場では、ダウは前日比497ドル(1.4%)安で取引を終えた。

新型コロナウイルスが蔓延する中国では、北京や上海などでロックダウン(都市封鎖)など厳しい行動制限に対する大規模な抗議活動が発生。政情不安や中国経済の減速懸念が持ち上がったほか、NY連銀総裁のタカ派発言も相場の重石となった。

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仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比0.99%高の16,267ドル。

BTC/USD日足

最大手取引所バイナンスがプルーフ・オブ・リザーブ(PoR)監査の一環で大量の仮想通貨(127,351BTC)の送金を図ったことでWhale Alertに検知されFUD(恐怖、不安、疑念)が発生する場面もあったが、CZが事情を説明し事態沈静化を図った。

29日には、米大手暗号資産レンディング企業BlockFiが米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を行なったことを発表した。

関連:米仮想通貨融資企業BlockFiが破産申請 SECやFTXらが債権者に

BlockFiは、今年6月に発生したテラ(LUNA)崩壊の影響で多額の損失を被っていた。その際に緊急融資を受けたFTXまでもが破綻し、財政が立ち行かなくなったと見られる。

アルトコイン相場

時価総額上位のメジャーアルトでは、8位のドージコイン(DOGE)が前日比8.0%、21位のチェインリンク(LINK)が前日比10.8%上昇した。DOGEを支持するイーロン・マスク氏のTwitter巨額買収報道以来、投げ銭(Tips)機能導入期待などさまざまな思惑が台頭している。

Twitterはすでに、新進気鋭のクリエイターやジャーナリスト、Twitterスペースのホストなどのアカウントに対し、BTCやETHでチップを投げ銭できる機能を導入済み。

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マイナーの苦境が顕著に

資産運用会社Capriole Investmentsの創業者のCharles Edwards(@caprioleio)氏は、Hash Ribbons(ハッシュリボン)でビットコインマイナー(採掘業者)の降伏が確認されたと指摘した。

ハッシュリボンは、マイナーハッシュレート(採掘速度)の30日移動平均線(30MA)と60日移動平均線(60MA)を観測することで、トレンドを予見する指標。30MAと60MAのデッドクロスは降伏シグナルを意味し、その後のゴールデンクロスは買いシグナル点灯を意味する。

マイナー収益(Revenue)は、2年ぶりの低水準まで下落。

miners-revenue

2022年以降の弱気トレンドでも上昇し続けていたハッシュレートも一転して下落に転じ始めた。

blockchain.com

Diamond Handsの「2022 ビットコインマイニングアップデート」調査レポートによれば、ハッシュレートおよび採掘難易度の遅行的な上昇は、サプライチェーン(供給網)の乱れや半導体不足などの影響から、最新鋭の採掘マシン納品がずれ込んだ影響が大きかった。

大手マイナーは採掘したビットコインの売却を余儀なくされており、今年9月にはマイニング関連企業Compute Northが5億ドルの負債を抱えて破産申請した。ナスダック上場企業のCore Scientificも証券取引委員会(SEC)に提出した書類で財務状況の急悪化を報告。早ければ年内にも破産する可能性があると指摘されている。

詳細:ビットコイン価格の大幅下落がマイナーに及ぼした影響とは

なお、過去1週間のビットコインの実現損失は、史上4番目の規模となる108億ドルを記録した。資金繰り悪化に伴う手元資金の確保や年末の税金計算に向けて含み損を売却・決済したエンティティの多さを示唆する。

glassnode

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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