NFT取引総額、4兆円相当が水増しか=Dune

NFTウォッシュトレードの現状分析

暗号資産(仮想通貨)データサイトDune Analyticsは16日、NFT(非代替性トークン)のウォッシュトレードについて分析するレポートを掲載した。

これまでにイーサリアム(ETH)のブロックチェーン上で行われた総NFT取引量の約44%、4兆円(300億ドル)相当を疑わしい取引が占めていると分析している。また、2022年に絞ると、イーサリアム上のNFT取引量の半分以上(58%)をウォッシュトレードが占めていた。

ウォッシュトレードとは、取引誘引を目的として、同一人物が同じ資産の売買両方の注文を発注するといった権利移転を目的としない取引のこと。株式などの投資取引の場合は、こうした売買は、金商法に違反する相場操縦行為に当たる場合がある。

分析手法

リサーチャーのhildobby氏は、4つのフィルターを用いて、ウォッシュトレードを抽出した。

まず1つ目のフィルターは、買い手と売り手のアドレスが同じである取引を抽出する。hildobby氏によると、この手法は、OpenSea、LooksRare、X2Y2、Blurなど、ほとんどのマーケットプレイスで使われているものだ。

2つ目のフィルターは、NFTが2つのウォレット間で行ったり来たりしている往復取引を検出する。

3つ目のフィルターは、同じアドレスが同一のNFTを3回購入したと考えられるケースをウォッシュトレードとラベル付けするもの。4つ目のフィルターは、買い手と売り手が最初に、同一のウォレットアドレスによって資金を供給されている場合を検知する。

4つのすべてのフィルターを適用したところ、約4兆円(300億ドル)以上がウォッシュトレードに関連する可能性があることが判明した格好だ。2022年1月が最近のピークであり、hildobby氏は、当時、取引量の80%以上がウォッシュトレードだったと見積もっている。

NFTとは

「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。

▶️仮想通貨用語集

トークン報酬が動機か

hildobby氏は、NFT市場でウォッシュトレードを行う動機として、NFTマーケットプレイスがアクティブ・ユーザーへの報酬を与えていることを挙げた。

NFTの分野では、新しい取引プラットフォームが次々と開設され、その間で競争が激しくなっている。このため、取引量を増やして、市場シェアを獲得するために一部のプラットフォームは、NFT売買に対してトークンで報酬を与えている。

例えば1月には、LooksRareでウォッシュトレードが増加し、出来高が水増しされていると指摘されたが、背景として対象となるNFTを売買するとLOOKSトークンが付与されることがあった。

関連新NFT市場LooksRare、トークン分配報酬目的のウォッシュトレードで出来高急増か

hildobby氏は、トークン報酬以外の動機として、コレクターの中には、自分のコレクションを様々なランキングで上位に表示させるためにウォッシュトレードを利用する者がいるとも説明している。

また、プラットフォームごとに、ウォッシュトレードの割合は異なっていた。すべてのマーケットプレイスである程度のウォッシュトレードが見られたものの、OpenSeaやCryptoPunksでは、全体に占める割合は小さく、LooksRare、X2Y2、Element、Sudoswapでは割合が大きかった。

ウォッシュトレードの割合が大きなプラットフォームの共通点としては、トークンが取引のインセンティブとして使われている(あるいは使われていた)ことであるという。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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