ポリゴン(MATIC)、ハードフォーク目処は1月17日に ネットワークの安定性と予測可能性向上へ
ポリゴンがハードフォークへ
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のスケーリングソリューション「ポリゴン(MATIC)」は、17日にも到達予定のブロック高38,189,056でハードフォークを実施する。
執筆時点のブロック番号は38,180,789。ポリゴンでは2秒毎に1ブロック生成されるため、日本時間1月17日20時頃にハードフォークが実施される見込みだ。(追記:ハードフォークは予定通り完了した)
今回のハードフォークの目的は2つ。高騰する取引手数料(ガス代)を軽減するための施策と、ブロックチェーンの再編成(リオーグ)に対処すること。これらにより、ネットワークパフォーマンスとセキュリティの向上を図る。なお、フォークによりチェーン分岐を伴う新たな仮想通貨が誕生することはない。
ポリゴンではイーサリアムと同様にネットワーク利用頻度に応じて取引手数料(ガス)が変動する「オンチェーン・ガスダイナミクス」を採用。しかし、Polygonのブロック生成時間は2秒程とイーサリアム(~15秒)より早いため、「ベースフィー」部分が指数関数的に上昇する傾向があった。
ベースフィーは各ブロックの空き容量に応じてアルゴリズムで算出され、バーン(焼却)される。ユーザーが指定しマイナー収益となる優先手数料(チップ)と区別される。ハードフォークにより、ガス計算式のパラメーターを調節し、実際の利用率が目標利用率を上回る場合にベースフィーの変動率を緩やか(12.5%→ 6.25%)にする。
また、単一バリデータによるブロック生成が可能な時間を128秒から32秒に変更し、ネットワークとしてファイナリティに到達するまでのブロック数(スプリントの長さ)を現在の64ブロックから16ブロックに減らす。
これらの措置により再編成(リオーグ)の深さを低減させ、またブロック生成に二人目や三人目のバリデータが同時に介入する可能性を低減させるねらい。なお、バリデーターが生成するブロックの合計数と時間には影響しないため、ハードフォーク前後で発生するバリデーター報酬は変動しない。
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再編成(リオーグ)とは、分散型ブロックチェーンネットワークにおいて2つのブロックが同時に採掘(生成)された際に発生するチェーン分岐のこと。後続するブロック数の点でより長いチェーンが正規とみなされ、もう一方のチェーンは削除される。これにより、取引の遅延や不確実性といったユーザーエクスペリエンスの低下、ノードのコストの増加といった悪影響を引き起こす。
全体を通してポリゴンの今回のアップグレードは、ユーザー、バリデーター、開発者にとって、パフォーマンスと予測可能性が向上すると考えられている。
ポリゴンの採用拡大
過去1年間を通して、ポリゴンは数々の大手企業との提携や採用が相次いでいる。スターバックス、コカ・コーラ、ディズニー、ナイキ、インスタグラムといった大手ブランドがポリゴンでNFTプロジェクトを立ち上げ、ネットワーク効果が生まれつつある。
こうした影響か、イーサリアム仮想マシン(EVM)互換チェーンの中でも、ポリゴンはトランザクション数の点で上位を維持してきた。
1月6日には、決済大手のマスターカードが音楽アーティスト向けのWeb3(分散型ウェブ)育成プログラム「Mastercard Artist Accelerator」を発表。ポリゴン(MATIC)ブロックチェーンを基盤として採用することが明らかになっていた。
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