世界経済フォーラム、DAOを支援するレポート公開

DAOの可能性引き出すための提言

世界経済フォーラム(WEF)は17日、自律分散型組織(DAO)に関するレポートを発表。新たな組織形態であるDAOの可能性を最大限に実現するため、開発者、政策立案者やその他の関係者に情報提供することを目的としている。

WEFは、DAOに必要とされることは、その目的やコミュニティ、構成方法に依存するため、すべてのDAOにあてはまるような推奨事項を示すことは難しいと指摘。その上で、様々なDAOが、効果的な運営、ガバナンス、法的戦略を策定するためのスタート地点を提示したいと述べた。

自律分散型組織(DAO)とは

自律的に機能する分散型組織を指す。「Decentralized Autonomous Organization」の略。一般的な企業などとは違い、経営者のような中央管理者が存在しない。参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる。

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WEFは、今回のレポート発行の背景について、次のように説明している。

2021年だけでも、DAOの資産価値は約490億円(3億8,000万ドル)から約2兆円(160億ドル)へと40倍に拡大し、参加者数は1万3,000人から160万人へと130倍に膨らんだ。

金融からソーシャルネットワーク、慈善事業まで、DAOというデジタル組織は、私たちのつながり、協力、創造の方法を再構築しようと試みている。

WEFは、DAOは台頭しつつあるが、現在その多くが運営、技術、ガバナンス、法の面で類似した課題に直面していると続けた。レポートは、これらの課題に対処するための提言を行っている。

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運営、ガバナンス、法的側面について提言

まず、DAOの運営については、設立前に明確な使命とビジョンを設定し、それに沿った構造を構築することを挙げた。さらに、次第に運営を分散化していく場合は、管理権の移転方法を法的に検討しておく必要があるとする。

さらに、新メンバー参加の際に、教育を担当するワーキンググループや教材があると便利だと指摘。何か特定のテーマに焦点を当てて活動するシーズン(時期)をもうけて、シーズンごとに活動評価することや、貢献者への報酬体系を定めることも提示した。

ガバナンスについては、詐欺的であったり中傷的であるなど、不適切と思われるガバナンス提案の削除を検討するなど、調整を行う管理者を任命することを提案した。

その他に、1メンバーにつき1票の投票を行えるとすることで、資産を多く持つ者が決定権を持つような状況を防ぐことができるとしている。ガバナンス提案が投票に移る前に、参加者がそれを精査し、コメントを行えるような期間を設けることなどにも言及した。

法的な面については、DAOの目的、コミュニティ、その他の要因に応じて、どのような法に準拠するのかを評価し、可能な法的形態を検討する必要があるとしている。

また、政策を提供する側に関しては、DAOという新しい組織形態の恩恵を現実化し、同時にそのリスクを軽減するためにも、「適切な政策・法的枠組みを構築することが極めて重要」だと唱えた。

例えば現状では、税務上でDAOをどのように取り扱うかについて、国際的に規制当局や政策立案者の間で調整が行われておらず、納税者と税務当局の双方にとって不確実性が存在していると述べる。

DAOの法的枠組みを開発する上では、官民を超えた協力が不可欠で、国や地域ごとに、まず何を優先するかを決定することが有益だと続けた。

DAOに関する枠組みは、証券法、税制、雇用・労働法など、複数の規制分野にまたがるものであるため、効果的なルールを構築するためには、これら全体を統一する戦略が重要になるとも指摘している。

目標を明確にした後には、専門規制ユニットの設立、DAOの目的別開示要件、規制サンドボックスなど、様々な試みを実施することができるとした。

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