米マイクロストラテジー、ビットコイン保有で250億円の減損計上
2022年第4四半期の決算報告
米ナスダックに上場するビジネスインテリジェンス企業のマイクロストラテジーは2日、2022年第4四半期(10~12月)の決算発表を行った。4Qに、同社が財務資産として保有するビットコイン(BTC)について約254億円(1億9,760万ドル)の減損を計上している。
2022年12月31日時点で、マイクロストラテジーは約132,500枚のビットコインを保有しており、帳簿価額は約2,370億円(18億4,000万ドル)だ。これには、ビットコインを最初に取得して以来の累積減損損失約2,770億円(21億5,300万ドル)と、ビットコイン一枚あたりの平均帳簿価額約179万円(約13,887ドル)が反映されている。
同時点で、ビットコインの取得原価は約5,140億円(39億9,300万ドル)、市場価値は約2,820億円(21億9,400万ドル)であり、購入時から価値は目減りしている格好だ。
なお、米国の標準的な会計規則では、帳簿上、仮想通貨の価値が損なわれたり下がったりした場合にのみ、その分数字を調整することになっている。つまり、価格が上昇した場合には、そのトークンを売却しない限り、値上がり分は報告されない。
ビットコインへ投資する戦略は維持
22年4Qに、マイクロストラテジーは初めてビットコイン資産の一部を売却している。約704 BTCを手放し、売却益は約1,160万円(90万ドル)だった。
ただ、これは税金対策として一部を売ったものであり、ビットコインに投資する戦略は維持している。11月1日から12月21日の間に、子会社のマクロストラテジーを通して約2,395 BTCを新たに購入し、12月22日に704 BTCを売却した形だ。
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マイクロストラテジーのAndrew Kang最高財務責任者は、今回次のように説明した。
第4四半期に、ビットコインの保有量を再び増やし、合計132,500枚にしたことを報告できることを嬉しく思う。
ビットコインを取得し、保有し、長期的に価値を成長させるという当社の企業戦略および信念に変わりはない。
また、マイクロストラテジーのMichael Saylor会長は決算説明会で、2020年8月に同社がビットコインの購入を開始して以来、ビットコイン価格は変動が激しかったが、マイクロストラテジー株式のパフォーマンスは、主要な株式指数などよりも優れていると述べた。
4Q全体で、同社は約171億円(1億3,260万ドル)の総収益を記録。アナリストの事前予想1億3,100万ドルを上回った形だ。マイクロストラテジーは本業として、企業向けにビジネスデータの分析プラットフォームを提供している。
なお、同社は昨年末に、ビットコイン(BTC)のL2技術「ライトニングネットワーク(LN)」関連のプロダクトを開発していることも明かしたところだ。
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2022年にマイクロストラテジーの株価は35%下落したが、2023年に入ってからは、年初の約19,000円(約145ドル)から2月2日の約38,000円(約292ドル)へと、2倍上昇している。
ライトニング・ネットワークとは
ビットコインのブロックチェーンの上に重ねられたセカンドレイヤー(L2)の決済プロトコル。混雑しがちなブロックチェーンの外で取引を行うことができ、取引の高速化や手数料削減につながり、少額決済を可能にする。
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テスラもビットコイン保有
ビットコインを財務資産として保有する著名企業には、テスラも存在する。テスラは、2022年に保有数の75%を売却し、残りは9,720 BTC(289億円)に相当するとされている。
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