エコノミッククラブのパウエル講演控え、ビットコインなど様子見基調
マクロ経済と金融市場
前週末3日の米NY株式市場では、ダウは前日比127ドル(0.38%)安と続落して取引を終えた。
3日に公表された「米雇用統計」結果が市場想定を大幅に上回ったことで、FRB(米連邦準備制度)による早期の利上げ停止期待が後退。外国為替(FX)市場ではドルが急伸したほか、続伸続きで過熱感のあったゴールドが急落。株やビットコインなどリスク資産も売られた。
労働市場の過熱感の強さは賃金上昇および企業のコスト増負担につながりかねず、インフレ抑制のための利上げ余地が意識されやすくなる。
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7日(日本時間8日午前2時)には、パウエルFRB議長やハーカー・フィラデルフィア連銀総裁など要人が米ワシントンD.C.のエコノミッククラブでインタビューに応じる予定だ。市場からは、米連邦公開市場委員会(FOMC)を受け市場認識との乖離が広がったことで、金融政策に関するタカ派発言や過度に慎重な経済見通しの言及を懸念する声もある。
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.52%安の22,945ドルに。
昨夏のレンジ上限付近は上値も重く、雇用統計結果を受けて反落した。
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オンチェーンアナリストのウィリー・ウー氏は、暗号資産取引所へのステーブルコインの資金流入経路について、「機関投資家の営業日に集中している」と指摘。欧米の大手機関が買いに動いている可能性を示唆した。
著名アナリストのMichaël van de Poppe氏はマクロ経済について、「FRBのソフトランディングは失敗し、景気後退が顕在化すればリスク資産(株やビットコイン)は大幅下落する」と悲観シナリオを想定する。
その場合1BTC=20,000ドルまでの価格調整は理に適っており、良い買い場(押し目)となる可能性もあるとした。
Game of Trades氏は、トレンドラインをブレイクアウトしてテストしている最中との見解を示し、25,000ドルのレジスタンスライン(上値抵抗線)を抜ければ46,000ドルがターゲットになり得るとした。
Prof. Chaîne氏によれば、先物市場では強気のバイアスに移り変わり、トレンド反転の兆候が認められる。
昨年末にはFTX/アラメダ・リサーチ破綻の影響で、デリバティブ市場のポジションが大量清算で一掃された。
Glassnodeのデータによれば、FTX騒動時には過去類をみない水準の“マイナス乖離”へと沈んだ無期限先物の「Funding Rate(資金調達率)」は、年初来の暗号資産(仮想通貨)上昇に伴い反転しつつある。
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