金融引き締め懸念強まる、米主要3指数や仮想通貨相場下落
マクロ経済と金融市場
21日の米NY株式市場では、ダウは前日比697.1ドル(2.06%)安、ナスダックは294.97ドル(2.5%)安と大幅下落で取引を終えた。
先日の米雇用統計やCPI(米消費者物価指数)に続き、米景況感を示す米国購買担当者景気指数(PMI)速報値が市場予想を上回ったことで、インフレ抑制に向けたFRB(米連邦準備制度)の金融引き締め長期化への警戒感が一段と高まった。PMIは8か月ぶりの高値水準である50.5まで上昇した。
これを受け、恐怖心理を示すVIX(CBOEボラティリティ)指数が急騰したほか国債利回りも急伸、株は今年最大級の下げ幅となった。小売大手の決算が悪かったこともセンチメントを大きく押し下げたものと見られる。
金利先物市場では、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における「0.50%」の追加利上げ観測が18.1%から24%まで急上昇した。
本日は米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が発表される予定であり、併せて注目される。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比3.28%安の24,079ドル。
米国市場で主要3指数が下落したことを受け売りが先行。暗号資産(仮想通貨)市場も軟調な展開となった。
仮想通貨分析会社Glassnodeのデータによると、1000BTC以上保有するクジラ(大口投資家)の数は、19年8月以来の最低水準にまで落ち込んだ。
一方、10,000BTC以上を保有するさらに巨大なクジラアドレス数は増え続けており、117に達した。
中国情勢
暗号資産の「国際的な中心地」を目指す香港にて、証券先物委員会(SFC)による規制緩和案を受け、仮想通貨取引所フォビ・グローバルは、アジア本社をシンガポールから香港に移転しようとしている。TORON創設者でフォビを運営するジャスティン・サン氏が日経アジアのインタビューで明かした。
SFCは3月までパブリックコメントを募集しており、ライセンス制度改訂を今年6月にも見込んでいる。
香港の人員を50人から200人に増やし、機関投資家や富裕層向けのサービス提供を見込んでいる。
中国政府は21年5月、当時世界トップシェアにあったマイニング(採掘)事業を含む暗号資産(仮想通貨)取引の全面禁止令を打ち出し市場の混乱を招いたが、22年10月になると、中国が特別行政自治区と位置付ける香港において、個人投資家の暗号資産への直接投資を可能とする法案の導入を検討し始めたことが伝わった。
SFCが提案する要件には、上場前の暗号資産(仮想通貨)トークンのデューデリジェンス(調査)プロセスが含まれる。
ブルームバーグが報じたところによれば、全人代のNick Chan氏は「中国の金融の安定性を脅かさない限り、香港は『一国二制度』の下で自由に追求することができる」と述べた。
昨年のアルゴリズム型ステーブルコインの「UST(TerraUSD)」の崩壊や大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの破綻を受け、米SEC(証券取引委員会)が規制を強める中、中国がWeb3市場でプレゼンスを強めるチャンスと捉え、まずは香港で新たな資産クラスに対する法整備容認に転じた可能性があるとの見方が出ている。
中国では今年1月、政府の支援を受け、国営「NFTプラットフォーム」がローンチされた。
北京に本拠を置く民間企業のHuaban Digital Copyright Service Centerと、中国政府が支援する中国技術取引所(CTE)、中国文化財交流センターによって共同設立された。
アルトコイン
主要アルトでは、前日比8.06%安となった時価総額9位のポリゴン(MATIC)の下落が目立った。
イーサリアムのスケーリングプラットフォームであるPolygon Labsは、組織再編のため従業員の20%に及ぶ100人のレイオフ(一時解雇)を発表したことが悪材料視された。
財務健全性については、2億5000万ドル以上の現金残高と190万MATICを保有しており問題ないと強調している。ポリゴンは昨年2月、セコイアキャピタルやソフトバンクビジョンファンド IIなど40のベンチャーキャピタリストから4億5000万ドルの資金調達を行っている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します