米サークル社、USDC準備金をマイノリティバンクに保管
シチズンズ・トラスト・バンクと提携
米ドル連動型ステーブルコインUSDCを発行する米サークル社(Circle)は24日、アトランタを拠点とするマイノリティ経営の大手銀行、シチズンズ・トラスト・バンクとの提携を発表。USDCの準備金の一部として約89億円(6,500万ドル)を同行で保有するとした。
それに加えて、サークル社とシチズンズ・トラスト・バンクは、米国アトランタ地域で、金融包摂やデジタル金融リテラシーにも取り組んでいく予定だ。アトランタの歴史的黒人大学(HBCU)や地元の学校を通じて、今年夏からプログラムを開始することを計画しており、サークル社は約1,360万円(10万ドル)の資金を提供する。
HBCUとは、主に南北戦争後(1861〜1865年)より、アフリカ系アメリカ人学生の教育を目的として設立された高等教育機関の総称だ。これまでの卒業生には公民権運動家のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏や、作家のトニ・モリスン氏をはじめ、医師、弁護士、エンジニアなど各界で活躍する人物が存在する。
サークル社のDante Disparte最高戦略責任者は、「金融と銀行の未来が、過去よりも多くの人々を包摂するものであるためには、歴史的に疎外されたコミュニティが、金融サービスの受益者であるだけでなく、主人公になる必要がある」と述べた。
シチズンズ・トラスト・バンクのCynthia N. Day社長兼CEOは、次のように説明している。
サークル社のUSDC準備金の一部を預かるという機会は当行のバランスシートを強化するものであり、当行は急成長する新市場の重要な一角を担うことになる。
私たちは、中小企業に資本へのアクセスを提供して、金融包摂により金融エコシステムを改善し、地域コミュニティをより強いものにしていくことに取り組んでいる。今回の提携は、これを後押しするものだ。
シチズンズ・トラスト・バンクは、米連邦預金保険公社(FDIC)によってマイノリティ所有の預金取扱機関(MDI)に分類されている。MDIとは、アフリカ系アメリカ人、アジア系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、ネイティブアメリカンが主に所有・経営する銀行のことだ。
FDICなどの政府機関は、既存のMDIの保全と、新規MDIの設立を奨励することが義務付けられている。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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準備金の状況を開示
サークル社は、透明性向上の試みとして、USDCの流通量と少なくとも同量のドル建て準備金を保有していることを証明する報告書を毎月発行している。
サークル社は、シチズンズ・トラスト・バンクの他、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、カスタマーズ・バンク、ニューヨーク・コミュニティ・バンク、シグネチャー・バンク、シリコンバレー・バンク、シルバーゲート・バンクでも準備金を保有しているところだ。
12月時点で、USDC準備金の総額は約6兆円(約447億ドル)、全額が、現金あるいは米国短期債などの形で、米国の大手金融機関や規制対象のカストディアンに預けられている。
同時点のUSDC流通総額は約446億ドルであり、準備金が流通総額を上回る格好だ。
準備金のうち、ファンド資産が236億ドル、米国財務省証券の合計が約105億ドル、現金預金の合計が106億ドルだった。この内容は、有力会計・監査法人Grant Thorntonグループが、米国公認会計士協会(AICPA)が定める基準に従って審査している。
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ステーブルコイン発行体としては米テザー社も、USDT準備金の透明性確保のため、定期的に情報開示を行っている。
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