米SEC弁護士「Binance.USが未登録の証券取引所に該当する可能性」指摘 Voyager Digitalの資産買収に向けた審問で
Binance.USのVoyager買収審問
米国の暗号資産(仮想通貨)取引所Binance.USによる、破産申請中の仮想通貨投資プラットフォームVoyager Digitalの資産買収に向けた取引について、2日に審問が開かれた。
この契約に異議を唱えるSEC(米証券取引委員会)の弁護士は、根拠としてBinance.USが「未登録の証券取引所に該当する」可能性があると指摘。加えて、Voyagerが過去に行ったVGXトークンの販売が連邦証券法に違反する可能性があるとの見解も加えた。
一方、Michael Wiles判事は、こうしたSEC側の主張は具体性が欠けているとして、強く懐疑的な態度を示している。
Voyager Digitalは22年7月に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)の適用を申請。Binance.USは22年12月、Voyagerの資産売却価格として約1,400億円(10.2億ドル)を提示して落札した。しかし、SECは異議を申し立てている。
2日にニューヨークの南部地区破産裁判所で開かれたBinance.USによるVoyager買収契約に関する審問では、SECが異議を唱える根拠に焦点が当てられた。SECの上級審判弁護士William Uptegrove氏は以下のように述べた。
「現在知られている事実と状況を考慮して、SECのスタッフはVGXトークンの募集と販売には証券取引の属性があると考えている。SECのスタッフはまた、Binance.USが米国で未登録の証券取引所を運営していると考えている。」
William氏の発言は、SECスタッフとしての立場を代弁したものだ。SECの5人のコミッショナー(チェアマン一人とコミッショナー4人)の見解を反映するものではないと同氏は補足している(通常、SECの規制執行措置には、コミッショナーの過半数の賛成票が必要とされる)。また、William氏が語った内容に関して、SECが「規制措置執行に向けたいかなる判断も下していない」と加えた。
一方、破産裁判所のMichael Wiles連邦地裁判事は、「Voyagerの買収取引に対する異議について、SECは詳細な根拠を示せていない」と指摘。VGXトークンが未登録証券になりうるというSEC弁護士の見方に対しても懐疑的な構えを示した。
君は、問題を起こすかもしれないのですべての取引を停止する必要があると言うが、それは奇妙な異議申し立てだ。
VGXを証券とする根拠として、SECのUptegrove氏は「債権者が規制リスクについて十分に警告されていなかった」ことを挙げたが、その他の明確な見解を示していない。SECはまた、Voyagerのマーケティング手法について誇張があったとみて別途調査している。
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Voyagerの債権者は賛成
Voyagerの弁護士であるChristine Okike氏は同じ審問で、この資産売却契約により、破産申請時の顧客預かり資産の73%を回収できると試算している。既に、Voyagerの債権者の97%がこの取引に賛成票を投じたという。
Voyager Digitalの弁護士が提出した文書によると、Binance.USは債務者への補償として約26億円(2,000万ドル)の現金支払いと、約20億円(1,500万ドル)の最大解約金の用意が要求される。
1月に開催された公聴会では、Binance.USの支払い能力について、Voyageが提出した情報に基づいて連邦地裁判事から承認が降りていた。
この取引はSECと対米外国投資委員会(CFIUS)からの最終承認を必要としており、CFIUSはこの資産売却に正式に異議を唱えていないが、国家安全保障上の懸念に関する「継続的な審査が最終的に取引を阻止することになりかねない」と警告した。
Binance.USは、中国生まれのカナダ人であるCZ(Changpeng Zhao)氏がCEOを務めるグローバル版Binanceから「完全に独立した組織」と主張している。
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