アービトラム財団が透明性向上を約束、DAOで再投票を実施へ
透明性向上を図る
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のL2「Arbitrum(ARB)」は、コミュニティ投票で反対多数となっている特別助成金予算案(AIP-1)について、修正提案と透明性向上を目的としたレポートを6日に発表した。
これは、AIP-1の投票結果が公表される前に財団が一部トークンを売却していたことが判明し、コミュニティの信頼を失った経緯を受けての対応だ。
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ArbitrumはOptimisticロールアップ技術を使ったイーサリアムのレイヤー2ブロックチェーン。ネットワークに預け入れられた資産総額(TVL)は2230億円(17億ドル)に上る(DeFillama調べ)。
Arbitrumは3月末に総供給量100億枚の12.75%に相当するエアドロップを実施。28日には分散型自律組織(DAO)の管理組織「アービトラム財団」設立に向けた提案の投票が開始された。
しかし、投票期間中に財団が5000万ARBを勝手に売却したことが明らかになり、コミュニティの紛糾が生じると、投票も否決。事態の終息を図るため、Arbitrumはセグメントごとに分割した再投票を行う方針を示していた。
今回、AIP-1.1とAIP-1.2が提示されたほか、特別助成金から名目を変更した「エコシステム開発基金」の透明性レポートが提出された。一連のツイートを通して、Arbitrumは以下の内容を約束している。
・AIP-1.1とAIP-1.2のフィードバックの募集:財団の支出に制限が設けられ、予算の原則とカテゴリーが明確に定義され、透明性レポートが義務付けられている。コミュニティのフィードバックを3日間受け入れる。
・予算とスマートコントラクトのロックアップスケジュールの提示:財団は、DAOによって承認された受け入れ可能な予算とスマートコントラクトのロックアップスケジュールが承認されるまで、ウォレットに残された7億ARBを移動しない。
・透明性の強化:資金の利用先について透明性を担保するレポートの開示、コミュニティの信頼を回復し、トークン保有者の権利を尊重することを目指す。
AIP-1.1とAIP-1.2の投票は三日後に開始され、1週間の投票期間が設けられる予定だ。Arbitrumはまた、過去のトラブルによりコミュニケーションが不十分だったことを認め、今後はより適切なコミュニケーションを心掛けると加えた。コミュニティのフィードバックを取り入れながら、組織の透明性とガバナンスを向上させるための施策を継続的に検討していくと宣言している。
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