Shapella実装後のイーサリアムステーキング解除、総量100万ETHを超える
ETH出金量が100万ETH越え
イーサリアム・ブロックチェーンが大型アップグレード「Shapella(上海+カペラ=シャペラ)」を実装して以降、ステーキングコントラクトから引き出された暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の総量が100万ETHを超えている(18日時点)。
日本時間4月13日7時27分に実行されたShapellaアップグレードにより、2020年後半からスタートしたステーキングでロックされていたETHの出金が初めて可能になった。
一時的に売却が懸念されたものの、イーサリアムの価格は過去1週間で9.1%上昇し、現在は約28万円(2083ドル)で取引されている。
データサイトtoken.unlocksによると、Shapella後5日間のステーキング残高推移は598,000 ETH純減となっている。ETHの入出金状況は以下の通りだ(18日9:30時点)。
- 総出金数:1060,000 ETH
- 出金待機中(報酬含む):921,000 ETH
- 次の11時間で出金見込み:10,250 ETH
- 新規入金数:460,000 ETH
データサイトNansenによると、「報酬を含むステーキングETH総量」は18,631,689 ETH。このうち「全額出金の待機中」として907,795 ETHが計上されている(18日9:30時点)。
エンティティ(組織)別に見ると、出金待機中ETHの米国の仮想通貨取引所Krakenが占める割合は43.6%(40万ETH)に上る。クラーケンは23年2月、米SEC(証券取引委員会)からステーキングサービスの提供が米証券法違反(無登録証券)だとして提訴され、米顧客向けサービスの提供中止を余儀なくされた。
また、SECからウェルズ通知(警告書)を発行された米最大手取引所のコインベースが13.6%(12.4万ETH)を占めるが、ステーキングを半強制的に解約された利用者の多くの資金は、他サービスを利用した再ステークに回るだろう。リキッドステーキングデリバティブ(LSD)の分野では過去7日間でステーキングETH総量が増加傾向となり、トップシェアを占めるLidoは1.45%(83,696.8ETH)増加している。
関連:イーサリアムをステーキングしながら運用可能にする「LSD(リキッドステーキングデリバティブ)」を解説
部分出金と全額出金
これまでのイーサリアムの出金数は、報酬分のみの「部分出金」がほとんどだった。出金リクエストには「撤退キュー(exit queue)」と「出金キュー(withdrawal queue)」の二つが存在し、「部分出金」は出金キューだけで完了するからだ。
2023年2月のバリデーター数をベースに算出した記録によると、出金キューは12秒毎の1つのスロット(≒ブロック)で最大16バリデーターまで許可される。1日には7,200エポックあることから、1日最大115,200バリデーターの「部分出金」が処理されることになる。Nansenによると、部分出金の出金キューは現在4.23日で処理されている。
一方、「全額出金」の場合は、まずバリデーターの終了手続きとして「撤退キュー」を出すことになる。1日あたり全額出金に向けた「撤退キュー」が処理されるバリデータ数は最大1,800件まで(*バリデーター数により変動)。バリデーターごとに32ETHがロックされているため、1日の全額出金の撤退キューの上限は57,600ETH(約145億円)に制限される。
さらに撤退キューが通過した後には、1日から1ヶ月強の待機時間が必要となる。この待機時間が経過した後に、改めて全額出金の「出金キュー」を出すことになるが、その時点でキューが殺到している場合は(現在では4.23日)待機する必要がある。
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