信用サービス企業Credora、S&Pグローバルとコインベース主導で8億円調達

仮想通貨市場の信用向上目指す

暗号資産(仮想通貨)市場などに融資や信用格付けを提供する米企業Credoraは25日、S&Pグローバルと仮想通貨取引所コインベースのVCが主導する戦略的資金調達ラウンドで約8億円(600万ドル)を集めたと発表した。

調達した資金は、機関投資家向けの信用サービス構築、借り手の支払い保証やモニタリングを支援する計算技術の強化に充てられる予定だ。

Credoraは、2022年に仮想通貨企業が次々と破綻したことに言及し、信用情報の不足も一因となっていたと指摘。次のように述べている。

情報の非対称性は、スリーアローズキャピタルやアラメダリサーチなどのような、最近、信用に関して起きた危機の根本原因の一つだ。

借り手の方は、その機密情報を共有したがらず、そのために貸し手は信用供与の際に評判や人間関係に頼るしかなかった。

さらに、仮想通貨の信用市場を悩ませたもう一つの大きな問題は、中央集権的な貸し手の破綻だ。不透明な融資モデル(ジェネシス、BlockFi、セルシウス、Voyagerなどが該当)により、数十億ドルの顧客資本が失われた。

こうした状況で、Credoraは、独自の計算技術により、借り手が機密情報に関するプライバシーを保護しながら、信用力があることを証明できるようにすると続けた。融資を行う上での堅牢な基準に基づく、より透明で開かれたレンディング市場を作れるとする形だ。

信用に関して、特にFTXは、姉妹会社に顧客資金を流用していたことなどが破綻後に発覚。例えば、FTXへの投資で損失を被ったカナダのオンタリオ州教員年金基金は、FTXが情報を適切に開示していなかったことで、リスク精査が充分に機能しなかったと述べている。

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今回の資金調達には、コインベースとS&Pグローバルの他、Spartan、Amber Group、CMT Digital、Hashkey、GSR、KuCoin Ventures、Paradigm.co、Pirata Capital、Breed VC、WAGMI Venturesなどが参加した。

Credoraは、今回の資金調達により、これまでに投資家から総額約21億円(1,600万ドル)以上の資金を調達したことになる。

DeFiに注目するS&Pグローバル

S&Pグローバルの一部門であるS&Pグローバル・レーティングのDeFi(分散型金融)責任者であるCharles Mounts氏は、次のようにコメントした。

当社は、Credoraへの投資を通じて、DeFiエコシステムの信用に関与することができて嬉しい。Credoraは、革新的なアプローチやテクノロジーの活用によって、この分野のリーダーになれると信じている。

米国の金融サービス大手S&Pグローバルは、DeFiに注目しているところだ。今月にも、DeFiを担当するディレクターを求人募集している。

同社のDeFiチームは、DeFiの他にも、「ブロックチェーン、Web3、メタバースに対する包括的なビジネス・戦略的アプローチ」を構築していくと述べていた。

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DeFi(分散型金融)とは

ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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