bitFlyer、トラベルルール対応で暗号資産の預入・送金制限を公表
bitFlyerがトラベルルール対応内容
国内大手の暗号資産(仮想通貨)取引所であるbitFlyerは30日、「トラベルルール」の導入に伴う対応策を公表した。bitflyerにて暗号資産の預入・送付を行うすべての法人・個人顧客に制限が適用される。
5月30日15時から、bitFlyerを経由して行われる暗号資産の預け入れや送金は、トラベルルールに準拠したシステム「TRUST(Travel Rule Universal Solution Technology)」を導入している暗号資産交換業者へと制限されることになる。
MetaMaskなどの暗号資産ウォレットは今後も利用が可能だが、国内で送金や預入が可能な暗号資産交換業者としてはCoincheckが唯一の選択肢となる状況だ。
ただし、この制限はトラベルルールに基づいた情報通知が義務づけられた21の国や地域に限定される。つまり、以下21か国以外に拠点を置く暗号資産交換業者との間では、引き続き暗号資産の送付や預け入れが可能だ。
TRUSTが対応する暗号資産の種類にも制約が存在する。そのため、bitFlyerが扱う暗号資産の中でTRUSTの対象となるのは、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)。そしてERC-20規格で作成された暗号資産である「ベーシックアテンショントークン(BAT)、チェーンリンク(LINK)、ポリゴン(MATIC)、メイカー(MKR)、シバ(SHIB)、パレット(PLT)」である。
なお、5月30日時点では、CoincheckとbitFlyer間で可能な暗号資産の預け入れや送金はビットコインのみとなる。bitFlyerは、Coincheck側での開発が進行すれば、今後イーサリアム(ETH)やERC-20規格の他の暗号資産についても取引が可能になると加えた。
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トラベルルールとは
これらの状況が生じた主な原因は、各企業がトラベルルールの遵守のために採用したソリューションが異なるためである。トラベルルールとは、「利用者からの依頼を受けて仮想通貨の送金を行う交換業者は、送金依頼者と受取人の詳細情報を、受取人側の交換業者に通知しなければならない」という規則のことである。この規則の適用は2023年6月頃から開始される。
bitFlyerやCoincheckが採用している「TRUST」は、GMOコインやbitbankなど国内の他の企業が導入する「Sygna Alliance」とは異なるプロトコルを使用している。そのため、現状では両者間で互換性がない。このことが、金融庁からライセンスを取得している他の国内の暗号資産交換業者でも、暗号資産の送金に制約が生じる要因となっている。
主要な米国企業(CoinbaseやCircle等)はTRUSTを採用しているが、日本国内やアジア太平洋地域の暗号資産交換業者は主に台湾のCoolBitX社が開発するSygnaを採用しているようだ。
トラベルルールは金融作業部会(FATF)が提唱し、犯罪者やテロリストが決済手段として仮想通貨を悪用することを防止する目的で提案された。
このルールを遵守するため、日本国内では23年6月9日までに「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」が施行される予定だ。この法律改正により、日本の暗号資産交換業者は、送金・受取人名、顧客識別番号などの情報を通知した上で暗号資産の送付を行うことが求められることとなる。
今後、暗号資産を利用する一般ユーザーにとっては、自身が利用している交換業者がどのプロトコルを採用しているかを確認し、送金が可能な取引所やウォレットを選択する必要が生じる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します