米イエレン財務長官、SECらの行動に賛意示す
「消費者を保護するための行動を支持」
米国のジャネット・イエレン財務長官は7日、CNBCの番組Squawk Boxに出演。米証券取引委員会(SEC)によるバイナンスらに対する訴訟を受けて、暗号資産(仮想通貨)に対する方針を改めて示した。
イエレン氏は、米財務省はバイデン政権の仮想通貨に関する大統領令を受けて、仮想通貨に関する報告書を作成し、その中で仮想通貨に内在する多くのリスクを特定したと述べた。その上で、次のように説明している。
消費者や投資家に対して仮想通貨がもたらすリスクについては、私たちの法律はすでに強力だ。
SECやCFTC(米商品先物取引委員会)、およびその他の規制当局は、消費者と投資家を保護する能力や手段を持っている。私は、こうした機関が彼らの有する手段を行使することを支持している。
「SECが行っている個別の事項にはコメントできない」として、訴訟に言及することは避けたものの、規制当局が消費者を守るために行動を起こすことについては全般的に賛意を示した形だ。
イエレン氏はさらに、「追加で規制が必要な点を特定しており、このことについては議会と協力していきたい」とも続けた。
イエレン財務長官は2月、主要20か国(G20)財務相会議で仮想通貨関連のパネルディスカッションが行われた際には、米国は「仮想通貨活動の全面的な禁止を提案してはいない」としつつ、「強力な規制枠組みを設けることは重要」だと発言している。
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SECとは
1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。SECは「Securities and Exchange Commission」の略で、日本では「証券取引等監視委員会」が近い役割を担っている。
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米国議会の動き
現在、米国の議会では複数の仮想通貨関連法案で動きがある。
共和党のパトリック・マクヘンリー議員とグレン・トンプソン議員は2日、仮想通貨規制を明確化する目的を持つ法律の草案を発表し、議論のたたき台を提示した。
草案は特に、現在不明確になっている、仮想通貨を証券あるいはコモディティ(商品)とみなす場合の線引きにも焦点を当てるものだ。あるトークンが十分に分散化され、投資契約ではなくなる場合について明確な定義を与えている。
また6日に、米下院農業委員会で開催された仮想通貨関連の公聴会では、CFTC委員長、コインベースや米大手投資アプリ「ロビンフッド」の代表者らが出席。消費者を保護しイノベーションを促進するためには、議会が規制をめぐって行動を起こす必要があると意見した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します