ウォール街金融が出資する仮想通貨取引所「EDX Markets」 米国でオープン

EDX Marketsオープン

主要な金融機関が支援する機関投資家専用の新たな暗号資産(仮想通貨)取引所EDX Marketsが21日、サービスを開始した。

EDX Marketsは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の4種類の仮想通貨取引を提供する。

EDX Marketsの支援者として名前が挙がる伝統的な金融機関は、シタデル・セキュリティーズ、フィデリティ・インベストメンツ、そしてチャールズ・シュワブだ。一方、仮想通貨業界のベンチャーキャピタルでは、Paradigm、Sequoia Capital、そしてVirtu Financialも出資している。

EDX Marketsは昨年9月に米国ニュージャージー州で設立された。その特徴の一つは、「ノンカストディアル」型であること。つまり、顧客の仮想通貨を直接保管しないスタイルであることだ。これにより、セキュリティリスクや顧客資金の誤用リスクを軽減し、利益相反の懸念を事実上解消するねらい。EDXは、伝統的な証券市場で採用されているルールを適用する方針を強調している。

SEC(米国証券取引委員会)は6月初旬にバイナンスと米コインベースの大手仮想通貨取引所を提訴した。それぞれ未登録の証券の提供、及びブローカー、証券取引所、またはクリアリング機関としてSECに登録しておらず、証券市場の情報開示制度を回避していると主張している。

SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は、既存の仮想通貨取引プラットフォームがカストディ(保管)、マーケットメイキング、トレーディングといった業務領域を包括しているために、利益相反が生じると警笛を鳴らしてきた。

関連:バイナンスとコインベースのSEC訴訟|仮想通貨規制の現状と業界の反応を整理

伝統的な金融機関の動向

EDXプラットフォームで顧客が仮想通貨と法定通貨間で取引を行う際、実際の資産の受け渡しはプラットフォーム外で実行される。顧客資産の保管のために、EDXは第三者の銀行やカストディアンサービスと提携している。

EDXは個人投資家へ直接的にサービスを提供するわけではないが、株式市場と同様の「場」を提供するため、一般投資家も証券会社の口座を通して利用することができるだろう。これにより、投資家の取引を効率化し、公平性の維持が期待されている。

同社はまた、EDXマーケットでマッチングされた取引の決済処理を効率化するために、今年後半にクリアリングハウスを設立する予定。クリアリングハウスは取引データの収集と管理を行い、複数の取引を一括で決済することができるだけでなく、取引の監視と規制遵守を容易にする役割も果たす。これにより、効率的で信頼性の高い取引処理が可能となる。

EDXは最近、2回目となる資金調達を完了し、Miami International Holdings、自己勘定取引会社DVトレーディング、GTS、GSR、そしてハドソン・リバー・トレーディングの関連会社などが、新規投資家として加わった。

伝統的な金融機関による仮想通貨市場へ参入するケースが増加している。世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、6月15日にビットコインの現物型ETF(上場投資信託)の立ち上げを目指し、SECに申請を行った。

関連:米ブラックロック、ビットコインETFを申請

なお、世界的なメガバンクであるドイツ銀行(Deutsche Bank AG)は20日、仮想通貨などデジタル資産のカストディサービスを運営するために、規制当局への許可を申請したと発表した。

関連:ドイツ銀行、仮想通貨のカストディサービスでライセンス申請

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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