米地裁判事、コインベース対SECの訴訟で見解を披露
事前ヒアリングで見解示す
米国地方裁判事のキャサリン・ポルカ・ファイラ氏は13日、米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースと米証券取引委員会(SEC)の間の裁判を巡り、SECが2021年にコインベースのナスダック株式上場を承認していたことについて見解を話した。
コインベースは、SECに上場申請書類「S-1」を提出し、SECが承認したことを受けて、2021年春にナスダック上場した経緯がある。
ファイラ氏は、裁判における事前ヒアリングの場で、次のように話している。
SECは、コインベースを証券取引所として登録する権限を持っていたと考えられる。
SECが申請書類を許可したことを受けて、コインベース側が自社の事業内容には問題がないと考えるのはおかしなことではない。
上場申請書類の許可が裁判で何らかの意味を持つ可能性があると述べた格好だ。
ファイラ氏はさらに、登録申請書をめぐる手続きにあたっては、SECはコインベースの事業が証券法に抵触するかどうかについてある程度の知識を持っていたはずだとして、次のように続けている。
登録申請書を評価する時点で、SECが企業の情報すべてを把握しているべきだと言っているわけではない。
しかし、SECはコインベースの活動を詳細にわたって調査していただろうと想定できる。
一方で、SEC側の弁護士は、「登録申請書に関するファイラ氏の考えは見当違いだ。SECが特定の企業の株式上場を許可することは、その会社の事業や事業構造を承認することとは本質が異なる」と反論している。
また、SECがコインベースに上場されているトークンを調べていたことや、コインベースにその取り扱うトークンが有価証券だと指摘されることはないなどと伝えていたことをを示す証拠は提示されていないとも続けた。
ステーキングサービスの証券性について
SECとコインベースは、事前ヒアリングでステーキングプログラムについて異なる見解を表明している。
コインベース側は、ステーキングサービスは「投資契約」ではなく、つまり証券性はないと主張した。「ステーキングの当事者に損失のリスクはない」もので、ITサービスなどと同様の「サービス契約」にあたると申し立てる形だ。
一方で、SEC側は、「ITサービスでは、新規事業を起こしていくような側面が含まれる可能性がある」と主張。ITサービス(この場合はステーキング)が新規事業のような性質を持つ場合、それにユーザーが参加することは投資の要素を持ち得ると示唆している。
一部地域でステーキングサービスを停止中
コインベースは、米国のカリフォルニア州、ニュージャージー州、サウスカロライナ州、ウィスコンシン州でステーキングサービスの新規提供を停止しているところだ。
SECや、複数の州当局がステーキングサービスを未登録有価証券に当たると主張していることが背景である。
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ステーキングとは
異なるブロックチェーン同士が相互運用できるようにするためのインフラや技術のこと。別のブロックチェーンで特定の仮想通貨を使う場合の技術の1つに「Wrapped Tokens」がある。この技術では、元の仮想通貨をロックアップして同等のWrapped Tokensを作成することで、様々なブロックチェーンでその仮想通貨の代替物を活用できるようになる。
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