米超党派議員ら、DeFiにマネロン防止要件などを課す法案提出
DeFiに従来型金融と同等の要件求める
米国超党派の上院議員グループは19日、分散型金融(DeFi)サービスに従来型の金融機関と同様の、マネーロンダリング防止(AML)要件や経済制裁の遵守を義務付ける法案を提出した。
この「暗号資産(仮想通貨)国家安全保障強化・施行法(CANSEE法)」は、DeFiプロジェクトに関して、財務省の規制権限を強化することも目的としている。
米国上院議員のジャック・リード氏(民主党)、マイク・ラウンズ氏(共和党)、マーク・ワーナー氏(民主党)、ミット・ロムニー氏(共和党)が法案に名前を連ねた。
議員らは法案の背景を次のように説明している。
DeFiは設計上、匿名性を提供する。このため、犯罪者は金融機関による取引監視や、マネーロンダリングや金融犯罪が疑われる取引の報告システムを回避できる可能性がある。
また、犯罪者、麻薬密売人、北朝鮮などの敵対国家が、不正に得た利益を洗浄するためにDeFiを使用する傾向があるとも指摘した。
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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具体的な内容
このCANSEE法は、銀行や証券ブローカー、カジノ、中央集権型仮想通貨取引所などに適用されるのと同じ国家安全保障法を、DeFiにも適用するものだ。
DeFiサービスは、資金洗浄防止(AML)プログラムの実施、顧客に対するデューデリジェンスの実施、不審な取引の米財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)への報告などを義務付けられることになる。
CANSEE法は、仮想通貨ATMの運営者に対し、ATMを使用した各取引の相手の身元を確認することも義務付ける内容も盛り込んだ。議員らによると、現在、全米には約30,600台の仮想通貨通貨ATMが存在している。
さらに、法案は財務省の権限をDeFiにも拡大することを規定している。背景として、米財務省は各金融機関にマネロン対策関連の特別な措置を課す権限を有しているが、現在その対象は従来の銀行システムで行われる取引に限定されていることがある。
業界からの反対意見
DeFi関係者の中からは、法案に対して反対の声も上がった。DeFi教育基金のミラー・ホワイトハウス・レバインCEOは、次のように述べている。
この法案は、米国内でのDeFi開発を事実上禁止することになる。
このアプローチは、DeFiを利用した違法行為に対処するためにはバランスを欠いた対応であり、ピアツーピアで行われる仮想通貨取引に対する、米国の法執行機関の把握力を損なう危険性もある。
また、仮想通貨業界団体クリプト・カウンシル・フォー・イノベーションのヤヤ・ファヌシー氏も、法案が、従来の金融会社向けのルールを、分散化されたDeFiプロトコルやサービス管理者・開発者に適用することを問題視した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します