米SEC、証券法違反でWeb3セキュリティ企業Quantstampを提訴 両者は和解へ
ICOで証券法違反
米証券取引委員会(SEC)は21日、Web3セキュリティ企業のQuantstampが未登録でICO(イニシャル・コイン・オファリング)を行ったとして、同社を提訴したことを発表した。
提訴の対象になった暗号資産(仮想通貨)はQSP。QuantstampはSECの主張を認めることも否定することもせずに、ICOで得た利益と罰金を支払うことなどに合意し、両者はすでに和解したという。
Quantstampは、著名なプロジェクトのコードの監査を行っていることで知られる。これまでイーサリアム(ETH)のクライアント、最近では、バイナンスでIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)を行ったArkham(ARKM)の監査も担当した。
関連:バイナンスでIEO実施のArkham、オンチェーンデータの電子市場をローンチへ
SECによると、Quantstampは2017年の10月から11月に、QSPを約5,000の投資家に販売。この時に米ドルとイーサリアムで、合計2,800万ドル(現レートで39億円)超を調達した。この時の購入者に、米国の投資家が含まれていたとSECは指摘している。
同社はこの時に調達した資金を、セキュリティ監査プロトコルの開発・販売に使用することを計画。Quantstampは、開発する計画のプラットフォームには大きな可能性があると強調していたと、SECは主張している。QSPはこのプロトコルで、バリデータ報酬などに使用される通貨である。
ICOの後には、サードパーティの取引所にQSPを上場。SECは「QuantstampはICOの投資家に対し、同社の努力によってQSPの価値が上がることを期待させた」とし、この時のICOは事前に登録を行う必要があったなどと述べ、証券法に違反したと指摘した。
SECの書類によれば、SECは今回も有価証券の該当性判断に、ハウィーテストを用いている。
Quantstampへの要求
QuantstampはICOで得た利益と罰金に加え、判決前利息の支払いにも合意。これで同社は、合計で340万ドル(約4.8億円)超を支払うことになる。SECは、被害者の救済ファンドである「Fair Fund」を設け、投資家に返金を行うとした。
また、Quantstampは停止命令に支払うことにも合意。残りのQSPをFair Fundの管理者に送金し、永久に使用できないようにすることにも応じた。
そして、ウェブサイトに今回の命令を掲載し、QSPを上場している取引所にも連絡するよう命じられている。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します