中国上海市、ブロックチェーンを多分野で導入する計画発表

2025年までにブロックチェーン基盤を完成へ

中国の上海市は7月31日、ブロックチェーンデジタル基盤システムの建設を体系的に推進するための計画を発表した。実体経済、公共サービス、都市ガバナンスなどの分野でブロックチェーンの導入を進め、都市のデジタル変革を行っていく。

2025年までを目途に、主に次のような目標を掲げている。

  • 浦江ブロックチェーンのインフラシステムを完成させ、迅速なチェーン展開を実現し、市の政務、公共サービス、産業への応用を後押ししていく。
  • ブロックチェーンのコア技術の研究と標準システムの構築で突破口を開き、イノベーティブな産業エコシステムを形成。業界をリードする企業や革新的な企業を育成する。
  • 長江デルタ地域においてブロックチェーンリソースで相乗効果を生み出し、国際的なブロックチェーン交流ハブを構築する。

「浦江」は上海の一部で、経済・金融の中心となっている地域だ。浦江ブロックチェーンには、データ識別やデジタル決済、監督機能が含まれる計画である。上海市のデータインフラのセキュリティを確保し、ブロックチェーンの応用事例を広く促進していくことを目指す。

ブロックチェーンとは

ネットワーク上にある複数の端末同士を直接接続して、分散的に情報を記録・管理するデータベース(台帳)またはその技術を指す。ネットワーク参加者がデータを共有し、相互にやりとりを監視することで、透明性と信頼性が担保される。暗号技術を活用するため、データの改ざんが事実上不可能であるという特徴を持つ。また、銀行などの中央管理者が不要であるため、単一障害点がなく、システムがダウンが起こりにくい。汎用性が高いため、仮想通貨業界以外での応用も進んでいる。

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具体的な導入シナリオ

上海市は具体的な導入分野として、以下のように様々なものを挙げている。

  • 政府事務・公共サービス
  • データ流通
  • 海運物流
  • 貿易
  • 産業インターネット
  • サプライチェーンファイナンス
  • 信用システム
  • 省エネ・二酸化炭素削減

例えば「政府事務・公共サービス」の分野では、長江デルタの統合を促進し、特別資金の監督や知的財産権の保護、農産物のトレーサビリティなどのシナリオで活用していくとした。

なお長江デルタ地域とは、上海を中心として長江下流に広がり上海、江蘇省、浙江省を指している。商工業が発達しており、2018年には中国のGDPの20%を占めていた。

「海運物流」では、通関申告や出港照会サービス、関連データの記録や、海運保険の価格設定、保険金請求の決済などの用途を挙げている。

その他にも「サプライチェーンファイナンス」分野で銀行業界のリスクコントロールと監督、「信用システム」分野で企業信用評価や業界の相互信用評価を、「省エネ・二酸化炭素削減」分野で、市の炭素排出量の管理・監督・評価メカニズムの構築を挙げるなど、多様な事例を盛り込んだ。

ブロックチェーン計画を進めていく上では、香港、シンガポールなどの地域との協力を模索することや、人材の育成と誘致、セキュリティシステム整備やコンプライアンスの監督なども行っていくとしている。

Web3やCBDC進める中国

中国は、ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の売買やマイニングは厳しく取り締まっているところだが、中央銀行デジタル通貨(CBDC)やWeb3産業については積極的に取り組んでいるところだ。

5月には中国北京市の科学技術委員会が、「北京におけるWeb3イノベーションと開発」と題したホワイトペーパーを発表。北京市は、国際的なWeb3イノベーションの中心地となるよう、技術プラットフォームや導入シナリオ、監督体制などの立ち上げを進めていると述べた。

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また、中国政府はデジタル人民元の実証実験を2020年後半より中国各地で大規模に行っており、今夏には香港でも、中華人民共和国の商業銀行「中国銀行」が、デジタル人民元によるショッピングフェスティバルを開催している。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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