ビットコイン相場は底堅くも上値の重い展開、来週は下値リスクか|bitbankアナリスト寄稿
今週7/29(土)〜8/4(金)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
7/29(土)〜8/4(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、底堅くも上値の重い展開に終始しており、4日正午時点で、410万円台後半で取引されている。
週末に起きたカーブファイナンス上の複数ステーブルコインプールからの不正資金流出を受け、週明けからアルトコイン市場が軟化するなか、米証券取引委員会(SEC)がコインベースを提訴する以前に、同社にBTC以外の暗号資産(仮想通貨)が証券に該当するとして上場廃止を要求していたことが明らかになったことや、同委員会がリチャード・ハート氏とヘックス(HEX)を含む彼のプロジェクトを提訴したことで、週明けのBTC相場はドル建で節目の2.9万ドル(約413万円)割れを試した。
一方、相場は同水準でなんとか踏み留まると、6月のJOLTs求人件数と7月米製造業購買担当者景気指数(PMI)の下振れを受けて下げ幅を奪回。8月2日朝方には、フィッチ・レーティングスが米国の外貨建て長期債をAAAからAA+に格下げし、BTCはにわかに430万円にワンタッチした。
しかし、フィッチの発表を受けて米株先が軟化すると、BTCも連れ安となり上げ幅を縮小。そこに、米司法省がバイナンス起訴を検討しているとセマフォー(SEMAFOR)が報じ、相場は420万円の維持に失敗した。
足元の相場は再び2.9万ドル水準で買い支えられているが、7月の米雇用統計発表を前に戻りは鈍く、狭いレンジで揉み合いとなっている。
今週のBTCは2.9万ドル水準を下回る場面も何度か確認されたが、終値では同水準を死守し続けた。一方、相場は心理的節目の3万ドル上抜けには失敗しており、先週も指摘の通り、方向感の読み難い展開となっている。
中期的にもBTC対ドルは今年の高値で停滞した状態が続いており、短期10日物のヒストリカルボラティリティ(HV)は歴史的に低い水準まで低下している(第2図)。
ボリンジャーバンドの収縮と同様に、HVの低下は新しいトレンドの始まりを示唆し、こうした状態が長く続けば続くほどブレイクの初動は大きくなる傾向がある。
ただ、ボラティリティの指標は相場トレンドの方向を示す指標ではない上、動き出すタイミングのヒントにもなり難い。目先では、今夜(8月4日)の米雇用統計や、10日の7月米消費者物価指数(CPI)と13日のアークと21シェアーズの現物型ビットコイン上場投資信託(Ark 21Shares Bitcoin ETF)の承認判断が目星い材料としてある。
今週はADPの民間部門雇用者数の増加が市場予想を上回ったが、全米供給管理協会(ISM)の製造業とサービス業の雇用指数は双方とも下振れとなった他、JOLTs求人件数も市場予想を下回った。
また、昨今ではADPの雇用統計と労働省労働統計局の雇用統計がマッチしない傾向(片方が上振れ(下振れ)ると、もう片方が下振れ(上振れ)る傾向)があり、BTCにとっては、今夜の雇用統計は支援材料となることが期待される。
一方、インフレ指標となるISMの支払価格指数は、製造業で引き続きインフレ鈍化傾向が示されたものの、サービス業では市場予想の52.1に対して56.8と、6月の54.1からも上昇しており、7月のCPIにやや懸念が残る。
SECの現物型ビットコインETF承認判断に関しても、SECとコインベースとの間で法的紛争がある限り判断が延期される公算が高いと見ており、来週のBTC相場には下値リスクがあると言えるか。
関連:bitbank_markets公式サイト
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