米ConsenSys、zkEVM型イーサリアムL2「Linea」をメインネットローンチ
「Linea」のメインネットローンチ
米国のWeb3(分散型ウェブ)の開発企業ConsenSysは16日、イーサリアムのL2スケーリングソリューション「Linea」のメインネットローンチを完了したと発表した。
ERC-20規格のトークン・ブリッジが設置され、ユーザーはイーサリアムチェーン(L1)から各種トークンをL2の「Linea」へ移行して、DeFi(分散型金融)アプリなどでの運用が可能となった。情報提供サービス「L2Beat」によれば、8月17日現在、Lineaへの預入資産総額(TVL)は約44億円(3,000万ドル)と、前日比で10%増加している。
パブリックローンチを祝して、Lineaは仮想通貨ウォレット「MetaMask」やステーブルコインの提供企業「Circle」、決済関連の「Banxa」や「Transak」と共同で、8月17日から31日まで初期ユーザー向けのキャンペーンを実施中。
MetaMaskの仮想通貨交換機能を利用して「USDC.e」を購入するユーザーのネットワーク手数料(ガス代)が免除される。USDC.eとは、Lineaに移行されたステーブルコインUSDCのこと。Lineaの「アカウント抽象化」という機能を通じて、サービス提供者がユーザーのガス代を負担する仕組みを活用したものだ。
アカウント抽象化とは
通称「スマートアカウント」とも呼ばれ、ユーザーが使用するアカウントで、スマートコントラクトを駆使したプログラム決済を利用可能にするブロックチェーン技術。二要素認証、ERC20を用いたガス代の支払い、スマートフォンでのトランザクションへの署名、アカウントの毎月の支出制限の設定、ブロックチェーンゲームの取引承認を不要にする、紛失したウォレットのソーシャルリカバリーなどが想定される。
▶️仮想通貨用語集
Lineaのプロダクト・リーダー、デクラン・フォックス氏はLineaのパブリックローンチに関して、「これは私たちがより広いエコシステムやコミュニティと連携して取り組むという継続的なコミットメントの始まりに過ぎない」とコメントした。
今後の展開として、Lineaは「初期セキュリティ評議会」を設立する予定である。この組織はネットワークのセキュリティを監督し、緊急時の問題対応を担当する。中長期的なビジョンとして、ネットワークの分散化を進め、エンティティへの信頼を最小限にする方針を掲げる。
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zkEVMとは
Lineaはゼロ知識証明技術を取り入れたzkEVM型のL2ソリューションとして注目されている。イーサリアムの仮想マシン(EVM)との完全な互換性を持つ特性から、開発者はイーサリアムのアプリケーションをLineaに容易に移植できる特徴がある。また、Lineaプロジェクトは独自のトークンの発行を行わない方針を公表していた。
7月11日には、Lineaのアルファ版が公開され、イーサリアムをLineaのネットワークにブリッジすることが可能となった。その後1ヶ月で、Lineaへのイーサリアムの移行総額は26億円以上に達し、270万件以上の取引が記録されており、急成長を遂げている。
現状、Linea上には150以上のdAppsが展開され、秒間1.5トランザクションが発生。イーサリアムメインネットの約1/15の手数料で処理されている。
イノベーションをさらに加速させるため、ConsenSysはエコシステム投資アライアンス(EIA)を設立。30社以上のベンチャーキャピタルと組んで、Linea上のプロジェクトのサポートを行っていくとのこと。
今後、Linea上でステーブルコインやリキッドステーキング、ミームコイン、DeFi(分散型金融)、Web3ゲーム、NFT(非代替性トークン)といったユースケースが展開され、ユーザー規模とプロトコル総資産額(TVL)の拡大が期待される。
Lineaをはじめ、zkEVMの進展を受けて、ゼロ知識証明を利用した「ZK-Rollups」型のL2ソリューションに対する関心が急増している。先行するL2技術である「Optimistic Rollups」に比べ、ZK-Rollupsはセキュリティ面での優れた性能や、待機期間の不要などの利点を持つ。しかし、これまでのZK-Rollupsはイーサリアム仮想マシン(EVM)との互換性が欠けていた。
3月にはzkSync Eraが最初のzkEVMロールアップとしてアルファ版をメインネットでローンチした。その後、ポリゴンが開発するL2ソリューション「Polygon zkEVM」もベータ版がリリースされた。
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