米PayPalのステーブルコイン「PYUSD」、立ち上がり3週間の伸びは苦戦か

ペイパルのステーブルコイン、立ち上がり3週間の伸びは苦戦

決済大手PayPal(ペイパル)によってローンチされたステーブルコイン「PYUSD」は、普及に苦戦している模様だ。

8月7日、ステーブルコインPYUSDがリリースされた。発行元は、アメリカ・ニューヨークに本社を構えるWeb3企業「Paxos」。過去ステーブルコインの発行実績を持ち、「Pax Dollar(USDP)」、物理的な「金(きん)」の保有量に価格が裏付けられたトークン「PAX Gold(PAXG)」などを発行している。

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当初は注目を集めたものの、オンチェーンデータによると利用が拡大しているとは言い難い状況だ。

DeFiを中心としたオンチェーンデータを公開する「DeFiLlama」によると、総発行枚数は3,879万PYUSDに対し、実際市場に流通している枚数は350万PYUSDに留まっている。

また、暗号資産(仮想通貨)の統計情報を扱うNansenによると、PYUSDの流通量の内、90%を発行元のPaxosが現在保有している。

一方、2種類でステーブルコインの時価総額85%を占めるUSDT、USDCは、そのほとんどが市場に流通。2強のシェアを奪うと期待されたPYUSDのDeFiでの広範な採用には、時間が掛かりそうだ。

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PYUSDが問う米国のステーブルコイン関連法制度

PYUSD発行を受け、米政府の各機関はステーブルコインに対する明確な法制度を求める立場を強調した。

米国下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長は、8月7日のPYUSDリリースを受け、ステーブルコイン規制法案可決の重要性を強調する声明を発表。

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一方、米民主党議員マキシン・ウォーターズ氏は法的枠組みが未整備の中でのリリースに懸念を表明。消費者保護と金融安定性を損ねるリスクとFRBによる監視が不可欠と強調した。

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米国のステーブルコイン法案は、現在超党派の交渉が進行中だ。その後下院全会での審議、上院と大統領による検討が求められるなど、成立までの課題は多く残る。

拡大するステーブルコイン市場

米国政府の慎重な姿勢をよそに、ステーブルコイン市場の拡大は続く。

ステーブルコインの時価総額2位の「USDC」を発行する米国企業Circleは、8月8日、「プログラマブル ウォレット」という新しいWeb3(分散型ウェブ)製品を発表。4,000社に上るUSDC活用企業のさらなる利用促進と、活用企業の増加を狙う。

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また、DeFi(分散型金融)のプロトコルMakerが発行するステーブルコイン「Dai」は8月7日、Daiを預け入れることで得られる金利を3.19%から最大8%に増加し預け入れ量が急増。現在、金利は5%に引き下げられている。

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