JPモルガン、ビットコインの推定生産コスト引き下げ 半減期にも見解
CBECI改訂受けて、生産コストを再検討
JPモルガンは暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の生産コスト見積もり額を1BTCあたり約309万円(2万1,000ドル)から約265万円(1万8,000ドル)に引き下げた。その上で、半減期についての見方を示している。
これは、英ケンブリッジ大学のオルタナティブ金融センター(CCAF)が、ビットコイン(BTC)のマイニングに関わる電力消費について、より正確に評価するため分析指標の改訂を行ったことを受けたものだ。
JPモルガンのアナリストらは、改訂後の指標を使って次のように分析している。
私たちは以前、電力コストがkWh(キロワット時)あたり約1.5円(1セント)変化するごとに、ビットコインの生産コストに約63万円(4,300ドル)の変化を引き起こすと計算していた。
改訂された指数をあてはめると、この感度は低下すると分析できる。ただし、約56万円(約3,800ドル)程度に下がるに過ぎない。
このため、2024年のビットコイン半減期がビットコインマイニング事業者に影響を与えることは変わらないだろうという趣旨で説明した格好だ。
JPモルガンは、ビットコインの生産コストは依然として電力コストに左右される割合が大きいために、半減期イベントはビットコインマイニング事業者にとってストレステストとなる可能性があると改めて述べている。
ビットコイン半減期ではマイナー(採掘者)が受け取る報酬が半分に減るため、電気料金の変動が全体の出費に与える影響も大きくなる。マイナーにとってはコスト管理がさらに重要になる局面だ。
半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。仮想通貨にはインフレを防ぐために「発行上限」が定められているものが多く、一定周期で訪れる半減期の度に、新規発行量が半分に減る仕組みになっている。供給量が減ることで希少価値が大幅に上昇し、価格が高騰しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントでもある。
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ビットコイン電力消費指数(CBECI)改訂
英ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センター(CCAF)は特に、電力効率の高い、新しい世代のマイニングマシンが採掘に使われる割合が多くなっているとして、ビットコインの消費する電力を見積もる「ビットコイン電力消費指数(CBECI)」を見直している。
改訂後の指数により概算を行うと、以前考えられていたよりも消費電力は大幅に低くなると説明した形だ。例えば、以前のモデルでは2021年のビットコインマイニング電力消費量を104テラワット時(TWh)と推定していたが、改訂モデルで計算し直すと89テラワット時になるとした。
なお、テラワット時(TWh)は、1時間に1兆ワットを出力することに相当するエネルギーの単位だ。
関連:英ケンブリッジ大学、仮想通貨ビットコインの電力消費を分析する指数見直し
業界大手の見解
仮想通貨マイニング機器大手ビットメイン(Bitmain)のXmei Lin営業部長は、CoinPostの独占インタビューで半減期についても考えを示している。
基本的にはマイニング業界では、長期的に見ればビットコイン価格は上昇していくという見方を前提としていると話した。
また、半減期はマイナーにとって大きなリスクだが、マイニングの最も重要な要素は「効率性」でもあり、効率の良い最新鋭のマイニング機器であれば、操業停止のリスクが下がるとも述べている。
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