香港当局が仮想通貨投資で追加の制限を導入 9月の巨額詐欺を受け

追加の投資家保護策を導入

香港証券先物委員会(SFC)と香港金融管理局(HKMA)は20日、暗号資産(仮想通貨)投資について追加の投資家保護策を導入した。

背景としては、仮想通貨セクターにおいてカストディアン、取引プラットフォームその他が従来の金融企業のように規制されていないリスク、価格決定の不透明性や市場操作の可能性などのリスクが存在し、投資家を守る必要があると説明している。

SFCとHKMAはまず、一部を除いて複雑性のある仮想通貨関連の商品はプロの投資家にのみ提供されるべきだとしている。こうした販売できる投資家を制限すべき商品の例としては、海外の仮想通貨非デリバティブETFを一例として挙げた。

ただ、SFCの規制下にある取引所に上場する仮想通貨デリバティブ商品や、SFCによって認可され、香港証券取引所で取引される公開先物ベースの仮想通貨ETFなど、従来のルールに従って取引が行われる商品に関しては、「プロ投資家のみ」という制限を課す必要はないとしている。

また、仮想通貨の仲介事業者は、リテール投資家に対して、仮想通貨についての知識をテストする必要があるとも続けた。

顧客が、仮想通貨やその関連商品への投資について持っている知識を評価し、不十分な場合には、その顧客に適切な教育を提供した場合にのみ、手続きを進めることができるとする格好だ。

これに加えて事業者は、顧客が仮想通貨関連商品の取引に伴うリスクや、潜在的な損失を負担できるほど資産を持っていることも確認する必要があるとしている。

デリバティブとは

仮想通貨や株式といった元になる資産から派生した金融商品のこと。英語表記は「派生」を意味する「derivative」。日本語では「金融派生商品」とも呼ばれる。代表的なデリバティブに先物取引、オプション取引、スワップ取引などがある。原資産の取引におけるリスクを軽減するために活用したり、単純に高い収益性を追求するために利用されている。

▶️仮想通貨用語集

JPEXの詐欺事件

香港は、今年6月より新しい規制を施行しており、個人投資家にも仮想通貨取引を認めたところだ。同時にライセンス制など投資家保護の仕組みも導入している。

関連香港、仮想通貨取引所の新ルールを6月から施行 上場可能な銘柄などを規定

しかしその後、大規模な詐欺事件も発生している。9月には、香港証券先物委員会(SFC)が認可していなかった仮想通貨取引所JPEXの詐欺で容疑者が逮捕された。

9月26日時点の報道によると、2,360件の被害が報告されており、被害総額は約283億円にも上っている。

香港のジョン・リー行政長官はこの事件を受けて、次のようにコメントしていた。

今回の事件は、投資家が仮想通貨に投資したい場合は、当局に認可されたプラットフォームを利用しなければならないことの重要性を浮き彫りにした。

香港証券先物委員会(SFC)は状況を注意深く監視し、投資家が十分に保護されるよう努める。

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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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