ナナメウエ社、bitFlyerで初IEO予定の暗号資産「YAY」ホワイトペーパー発表へ
YAYホワイトペーパー発表へ
好きでつながるバーチャルワールド『Yay!』を運営する株式会社ナナメウエは8日、独自の暗号資産「YAY」を用いたYay!のトークノミクスを説明するホワイトペーパーを発表した。
Yay!は20年1月にサービスを開始し、23年11月時点で800万人が利用するSNSだ。
暗号資産「YAY」発行を機に、バーチャルワールド『Yay!』のコミュニティ全体で自然にトークンを利用する未来を作ることで、日本発のSocialFiの実現を目指す。
YAYはイーサリアム(ETH)上で発行されるERC-20のFTで、発行上限枚数は100億枚。取引所で取得できるほか、ステーキング、Palの購入数やGenesis保有者のPalミント数等の条件を満たす事により、YAYを報酬として受け取ることができるようになる。ガバナンストークンのため、大量保有するユーザーほど将来的にはYay!のエコシステムに関しての重大な意思決定権を持つことになる。
ナナメウエ社は、多くの利用者にとってYay!が初めてのweb3サービスになり得るという前提の元、複雑な操作や管理能力の問われる「デジタルウォレット」を持たずとも、web3に不慣れなユーザーでも気軽かつ無料で体験できるような優しい設計を心掛けたという。
一方、GameFi(ブロックチェーンゲーム)やDeFi(分散型金融)など、web3の資産運用に慣れている暗号資産(仮想通貨)投資の中・上級者向けにも、リスクを取ることでリターンを最大化できるような設計を用意した。
今後の展望としてマルチチェーン化も視野にあり、対応しやすいEVM(Ethereum Virtual Machine)互換が意識されている。
bitFlyer初のIEO
ナナメウエは昨年8月、国内大手暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するbitFlyerとIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)における「YAY」の受託販売に向けた契約締結を発表した。
IEOとは、暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査およびトークン販売を行うモデルであり、過去に流行したICO(イニシャル・コイン・オファリング)と比較してプロジェクトの信頼性が相当程度向上するほか、新規上場を前提とした調達支援となることから流動性が担保されやすいなど、個人投資家視点でもさまざまなメリットがある。
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株式市場のIPO(新規公開株式)同様、IEOにおいては申し込み抽選倍率で人気を推し量ることができるほか、上場直後の初値が公募価格を上回るかどうかや取引開始後の価格推移なども注目されるところだ。
国内においては、21年7月に国内初となるPalette Token(PLT)のIEOをコインチェックが資金調達を支援する形で実施し、わずか6分で目標金額の9億円を調達するなど成功を収めた。その後、コインチェックでは2度目のIEOを実施したほか、これを皮切りにGMOコインやDMM Bitcoin、coinbookなどが追従した。
今回の「YAY」IEOは、ビットコインの上昇に伴い相場環境が好転する中、コインチェックに次ぐ老舗取引所として人気を博すbitFlyerにおける初のIEO事例ということもあり、市場の関心が集まりそうだ。
サステナブルなトークノミクス
IEO投資などでトークンの長期保有を検討するにあたり、まず気になるところは、トークノミクスのサステナビリティ(持続可能性)が挙げられるだろう。
過去に世界的な流行を生み出したGameFi系のトークノミクスでは、人気の過熱している間はともかく、新規流入が減速して需要が供給を下回り始めると、トークンの売り圧力とNFTの供給過多が売りが売りを呼ぶ展開に陥り、バブル崩壊やユーザー離れに至った例も珍しくない。
そのような前例を踏まえ、YAYのホワイトペーパーでは、サステナブルなトークノミクスを強く意識しており、現時点で有力と思われる解決案が明記されている。
ナナメウエの分析によれば、通常のGameFiにおいて崩壊リスクのあるシナリオは下記の5つに集約される。
- NFTの供給過多による価格崩壊
- ユーティリティトークンが売り一辺倒になることによる資本効率悪化
- 外部収益が無く、運営者がトークノミクスから手数料を徴収する仕組み
- サービスの利用者がおらず、トークンのみが独り歩きしている
- 外部トレーダーの流動性の軽視
Yay!では、これらに対する一つの解として下記のような対策を実行する。
- Palに対して寿命を設けることにより、新規利用者だけではなく、既存利用者に対してもPalの需要を作る
- 適切なサービス内のユーティリティ消費設計と、出金時のYAYへの変換ストラクチャにより、ユーティリティトークンに対する売り圧力を制限
- 広告や有料会員機能により外部収益が存在し、ユーザーが増えれば増えるほど増大していく。さらにトレジャリーに蓄積されたイーサリアム(ETH)は出金時のYAYの購入(買い圧力)に使われるなど、コミュニティへの還元に全量利用される
- インセンティブ無しでも熱量の高い多数の利用者が日々サービスを利用する仕組み
- 利用者が報酬を引き出すたびに買い圧力を常に生み出す設計になっており、サービスの体験と流動性が一体となっているためトレーダーが扱いやすい
デジタルペットのPal
Palは、Arbitrum上で発行されるERC-721aのNFT。デジタルペットをモチーフにしたデザインであり、個体によってさまざまな特徴を持つという。
Palの個体数が供給過多になることを防ぐため、mintはPal(NFT)同士ではなく、天使をモチーフにした「Yay! Genesis(NFT)」からのみ可能となっており、72時間のクールダウンタイムとETH建てのmintコストが掛かる。
また、Palには月日の経過により確率で発動する“寿命”の概念が設けられていることで、市場供給が飽和状態にならないよう工夫されている。
Palを購入するとマーケットプレイス型のトークノミクスに参加し、ギフトの送受信や友達の招待などコミュニティ貢献の報酬として獲得可能なEMPLの数量がプール型より多くなるよう設計した。
これに対し、ライト層向けにはPalを無償で取得可能なプール型のトークノミクスも用意されており、マーケットプレイス型と違いPalを購入する原資を必要とせず、獲得したEMPLを売却するまでの間、ウォレットや暗号資産取引所の開設が必要なくオフチェーンにより大半の部分が完結する代わりに、報酬期待値も限定的となる。
mintしたPalは専用のマーケットプレイスでも売却可能で、Palマーケットプレイスでの売却価格がmint価格よりも高い場合、Genesis保有者はPalの売却益を得ることができる。また、ホルダーの“在庫リスク”を軽減する仕組みも用意されており、すぐに不要なPalをプールに送り込んで流動性を提供することで、120日間に渡ってレアリティに応じた「YAY」を受け取ることも可能だ。
Palのmint回数に応じて追加でYAYの報酬を受け取ることができるため、いずれのケースであってもPalのmintをし続けることに金銭的インセンティブを享受できる可能性が高まるという。
「Yay!」のサービス内では、一定条件を満たすと他のユーザーの保有するPalと「バトル」を行うことができ、相手に勝つとユーティリティトークン「エンプル(EMPL)」などのリワード報酬を得ることもできる。EMPLはガバナンストークン「YAY」に交換して出金可能だ。
買い圧発生のロジックは
PalのmintやNFTの売買ロイヤリティ等で取得したイーサリアム(ETH)は、運営のトレジャリーに積み立てられていき、トレジャリーのETHは上場予定先の暗号資産(仮想通貨)取引所bitFlyerで自社トークン買いを行う原資に充てられる。
利用者がEMPLをYAYに交換する際に、出金交換手数料(初期15%を想定)を徴収するが、運営がYAYを購入する際には、利用者に出金された金額と手数料を含める全額分の購入を行うため、理論上利用者が出金すればするほど、YAYに買い圧力が発生し擬似的なロングポジションが発生する設計になるという。
また、Yay!ではトークン収益をコミュニティに還元することはもちろん、暗号資産以外での事業収益もコミュニティに還元し続けることにより、世界で初めてのサステナブルなトークン経済圏を持つSocial FinanceとPlay To Earn(P2E)の要素が組み合わされたサービスとしてビジョンを叶えていくとしている。
「暗号資産以外での事業収益」については、Yay!のサービスにおける有料課金やオンライン広告収益が充てられることになるが、すでに現時点で相応の規模感が見込める模様だ。
メディア関係者向けの事前説明会では、「ユーザー視点で「(このようなトークノミクスにより)“エコシステムがさらに成長するかもしれない”という期待感が醸成され、中・長期でYAYを保有し続けるインセンティブにつながるのではないか」とし、自信を示した。
キャンペーン実施
ナナメウエは、YAYのホワイトペーパーの公開を記念して、保有していると将来的にYAYトークンがエアドロップされる特別なNFTをYay!アプリ内で配布することを発表した。
キャンペーン期間:11月9日(木)0:00 〜 11月15日(水)23:59
併せて、Yay!のweb3関連情報に特化した公式Xアカウントを新たに開設している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します