
IEOという新しい資金調達方法の登場により、多くの暗号資産(仮想通貨)が上場しています。
そんな中、コインチェックが主導した国内初のIEO(Initial Exchange Offering)が成功を収め、価格高騰に繋がりました。
また、2021年9月には、国内大手取引所bitbankが東証一部上場企業であるミクシィとの資本業務提携を発表。IEO事業などの立ち上げを検討中であるとしています。
今回は仮想通貨のIEOによる資金調達を行った事例とIEOに参加する方法を詳しく解説します。
- 目次
1.仮想通貨のIEOとは
仮想通貨のIEOとは、トークン発行によるコミュニティの形成・強化や資金調達を仮想通貨取引所が支援するものです。これまでのICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開)に代わる資金調達方法として世界中で利用されています。
仮想通貨取引所は、IPO(新規株公開)における証券会社のような役回りを担い、企業などのトークン発行体の売買を行うことで、発行体の資金援助を行います。
IEOについては、「仮想通貨の新たな資金調達法、IEOとは|ICOとの違いやメリットを解説」の記事で分かりやすく解説しているため、気になった方は記事をご覧ください。
2.仮想通貨のIEOで行われた資金調達の事例
現在、海外ではIEOが盛んに行われており、多くの仮想通貨投資家が相場に注目しています。そこで、本記事では特に注目すべきIEOにおける資金調達事例を4つ紹介します。
2-1 BitTorrent/BTTの事例
2019年1月に行われたバイナンスIEO Launchpad第1弾であり、歴史的にも大きな意義を持つIEO。
当時は先着順でしたが、応募が殺到してシステムに過剰な負荷が生じたため、その後バイナンスコイン(BNB)の保有量に応じた抽選形式に変わり、取引所トークン躍進のきっかけとなりました。
BitTorrentが発行する「BTTトークン」は、BitTorrentが提供するサービス「ユーザー間のファイル転送」を行うために利用される仮想通貨で、高速でファイルのアップロードやダウンロードができるように設計されています。また、BitTorrentは、仮想通貨プロジェクトであるトロン(TRX)財団傘下のプロジェクトでもあります。
プレセール(上場する前)時の価格は、1BTT=約0.013円、上場直後の初値は0.051円をつけ、価格は約4倍に。現在価格は0.45円(上場後の初値から約9倍)をつけており、時価総額は約2970億円です。
2-2 Matic Network(Polygon)の事例
BitTorrentと同様、バイナンスIEO LaunchpadでIEOを果たし、2021年3月には米最大手取引所コインベースへ上場しました。2021年9月時点でCMC時価総額ランキング20位の史上最も成功したIEO。
イーサリアムと互換性のあるレイヤー2ソリューションの代表格であり、デジタル資産取引におけるガス代削減策や高速化のため、日本企業のNFTゲームでもマルチチェーン対応として導入されています。
混雑の続くETHチェーンのメインネットとは異なる拡張性を有し、スケーラビティ問題を緩和することに成功。21年2月には「Matic Network」から「Polygon」にリブランディングしています。
プレセール時の価格は1MATIC=約0.29円、上場直後の初値は0.39円をつけ、約1.3倍に。現在価格は150円(上場後の初値から約380倍)をつけており、時価総額は約1兆円です。
2-3 celer networkの事例
バイナンスが3回目に行ったIEOで、4億4000万円の資金調達に成功しています。
取引およびスマートコントラクトについてオフチェーンでの取引を可能にするという特徴を持つ仮想通貨です。
celer networkの販売は、バイナンスコインのみの受付であるにもかかわらず、多くの資金調達を行ったとして注目を集めました。
プレセール時の価格は1CELR=約0.7円、上場直後の初値は2円をつけ、約3倍に。現在価格は6円(上場後の初値から約3倍)をつけており、時価総額は約280億円です。
3.国内初のIEO「パレットトークン(PLT)」の事例
ここからは日本初のIEOが実施されたパレットトークンについて解説します。
3-1 パレットトークン(PLT)とは?
パレットトークン(PLT)とは、NFT(非代替性トークン)を扱うプラットフォームであるpaletteプラットフォームのガバナンストークンであり、基軸通貨としての役割を持つ仮想通貨です。
パレットトークンの活用方法として、NFTの購入や発行手数料の支払いなどNFTに関連する支払いをはじめ、パレットコンソーシアムのメンバーへの委任やPLT保有による権利付与など多岐にわたります。
また、paletteプラットフォームがクロスチェーンに対応しており比較的手数料が安定しているため、利用する際のハードルが低く、新規参入がしやすいプラットフォームです。
本記事では、パレットトークンの特徴を簡単に説明しておりますが、より詳しくパレットトークンに知りたい方は「国内初のコインチェックIEO、仮想通貨パレットトークン(PLT)の特徴と魅力とは」の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
3-2 パレットトークン(PLT)の事例
IEOに多数の海外取引所が参入する中、コインチェックが日本初のIEOを実施するとして、パレットトークンが扱われることとなりました。
取引所の一部が取り扱いに遅れるといったトラブルがありましたが、6万人が参加する取引が行われ、資金調達額は227億円に上り成功裏に収めました。
227億円という資金調達は、IEO全体の市場規模をみても非常に大きい額であり、国内にとどまらず世界中から注目を集めました。
関連:仮想通貨取引所コインチェックとは|投資家向け3つのおすすめポイント
4.IEOに参加する際の注意点
IEOに参加すると、多額の資金調達を行うことが可能である反面、注意しなければいけない点があります。特に下記2点に注意しましょう。
- ハイリスクハイリターンの取引
- 手数料は発生する
上記2点について詳しく説明いたします。
4-1 ボラティリティ(価格変動性)の上昇
株のIPO銘柄同様、IEOで新規に販売が開始されたトークンは、値上がり益が期待できる一方で、ボラティリティ(価格変動性)が激しく、慌てて購入すると高値掴みしてしまうリスクもあります。
IEOののプレセールで出資した参加者が、新規トークンの販売によって値上がりしたトークンを売却し、利益を確定させるため、価格の上下が発生しやすくなります。
4-2 手数料は発生する
IEOに参加する場合、当選した口数に応じて手数料が発生します。
IEOの参加には抽選が行われ、抽選に当選した参加者が仮想通貨取引所に発行された新規トークンを購入することができます。
抽選倍率は、高い場合20倍も超えることがあるため、複数応募すれば当選確率は上がりますが、複数に当選した場合多くの手数料を払わなくてはいけないため注意が必要です。
5.IEOに参加する方法
IEOに参加する方法は、以下の5ステップです。
- メールアドレスと電話番号を登録
- 顧客情報を登録
- 本人確認書類を提出
- 入金
- 対象の仮想通貨を購入
ステップごとに内容を説明します。
5-1 メールアドレスと電話番号を登録
まずは、取引を行う仮想通貨取引所にアカウントを開設する必要があります。
アカウントの開設は非常に簡単でメールアドレスと電話番号を入力するのみです。
その後開設した仮想通貨取引所から連絡がきて、アカウント開設は完了です。
5-2 顧客情報を登録
アカウントを開設した後は、ログインするために顧客情報を登録します。
IEOに参加するためには個人情報を入力しなければならず、国籍・郵便番号・住所・氏名・年齢や個人・法人の入力を行いましょう。
5-3本人確認書類を提出
顧客情報を登録した後は、顧客情報を証明するための手続きとして本人確認書類の提出を行います。
本人確認書類の提出には、免許証・保険証・パスポートといった公的書類を使用することになります。
また、自分の顔写真を提出する場合があるため、あらかじめ準備しておきましょう。
5-4 入金
本人確認書類が受理されると仮想通貨取引所で取引が可能となりIEOに参加できるようになりますが、仮想通貨取引を行うためには仮想通貨が必要なため入金を行う必要があります。
入金の方法は銀行振り込みやコンビニでの振り込みなど複数あるため、自分が登録した仮想通貨取引所に対応した振込方法で入金しましょう。
また、振り込む方法によって手数料が異なるケースがあるため、しっかりと確認しておくことが大切です。
5-5 IEO銘柄を購入
登録が完了し、入金が済んだら、その取引所でIEOの対象となっている仮想通貨を購入しましょう。
購入するトークンによって、値段、取引できる取引所が異なるため、自分がどこで取引を行いたいか明確に決めてから購入することをおすすめします。
しかし最初のうちは、購入するトークンや取引を行う仮想通貨取引所の数が多すぎて、何を選べばいいかわからないという方も多くいると思います。
そんな方におすすめの仮想通貨プラットフォームはコインチェックです。
取り扱い通貨数が業界トップレベルであるのに加えて、口座開設や取引操作が分かりやすく初心者から上級者まで幅広く愛されている仮想通貨です。
「仮想通貨投資を始めたいけれど何をしたらいいか分からない」「とりあえず始めてみたい」という方はまずはコインチェックから始めてみてはいかがでしょうか?
6.まとめ:今後も注目を集める仮想通貨のIEO
IEOでは、多くの仮想通貨プロジェクトが資金調達を行っており、多額の資金調達に成功するプロジェクトもあれば、上場した後になって仮想通貨の価値が急落してしまうケースもあるため、ボラティリティ(価格変動性)の大きさには注意が必要です。
国内初のIEOであるパレットトークン(PLT)を含め、成熟しきっていないIEO市場に目が離せません。