IEO制度健全化に向けたアジェンダ
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は26日、IEO(Initial Exchange Offering)制度による資金調達の健全化を目指すため、自主規制改革の初期案を公開した。
この案は、価格の安定性向上と制度の運用方法の改善が目指したもの。具体的な提案としては、関係者のロックアップ制度の確立、流動性の確保、公募価格の算定方法の多様化、及び安定操作の整備が挙げられている。JCBAは今後、この提案を基に各関係機関との協議を進める予定だ。
なお、2024年3月時点では、年内実施を目指す企業が2社あります。人気のIEOは抽選形式となり、抽選に参加する場合、暗号資産交換業者(取引所)の口座開設が必要です。
セカンダリマーケットで購入する場合にも上場先の取引所口座は必要不可欠ですが、KYC(身分確認)には長ければ数週間かかることもあります。
IEO投資で利益を稼ぎたい場合、プロジェクトおよび発行されるトークンの将来性やベンチャーキャピタル(VC)などの売り圧力を念入りにリサーチの上、あらかじめ新規口座開設しておくなど、余裕をもって準備したいところです。
こちらの記事では、国内のIEO事例、国内外の成功事例、今後予定されるIEO、そして参加方法について詳しく解説します。
個人投資家の注目点
改革提案の中でも、特に注目されているのは売却制限の項目である。提案には、IEOプロジェクトの関係者(取引所含む)には、原則として最低3ヶ月間のロックアップが含まれる。
上場後すぐに大量保有する関係者の売り抜けが発生してしまうとトークン価格の維持は難しく、健全とは言い難いとの指摘もあるからだ。
また、ベスティング解除サイクルは最低1ヶ月毎とされ、月間の売却可能数量も制限される。加えてロックアップ期間中の第三者への譲渡も防止される条項が設けられ、IEO引受企業が監視する。
この改革案は、暗号資産やWeb3に関連する多様な事業者から成るJCBA ICO・IEO部会が中心となって、今年の5月より議論を重ね、策定されたものだ。株式市場のIPO(新規公開株式)制度などを念頭に、投資家保護の仕組みを整備することで、業界の発展に正しく寄与することを目指す。
IEOは、様々な事業者が金融庁の監督下にある暗号資産交換業者を通じてトークンセールを行う、新しい資金調達手段である。令和5年度の税制改正によって、自社発行トークンの法人税期末時価評価課税の適用除外要件が設けられ、IEOの実施環境が一層整備されている。
JCBA ICO・IEO部会の吉田世博部会長は、「IEOの制度化は、日本が世界に先駆けて取り組んだ重要な取り組みであり、国内Web3産業の発展において大きな可能性を秘めている。」と強調している。
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IEO制度の現状と課題
IEO制度の改善により、利用者保護が一層強化されることが期待される。国内IEOはこれまでに4例が実施され、その総額は44億円を超える。しかし、4案件中3件で上場後まもなく公募割れが発生。一号案件以外では、上場後5日以内のボラティリティが顕著だった。
ICOよりも信頼性を担保にしたIEO市場でも投資家離れを起こしてしまえば本末転倒であり、今後の企業やプロジェクトの資金調達にも尾を引きかねないとの危機感があると見られる。
吉田氏は本提案を起点に、売却制限の制度化や市場効率化施策の導入により、各関係機関との協議を進め、IEO市場の健全な発展を目指していく方針を示している。
提案資料では、IEO審査プロセスの改善やIEOに関する自主規制規則全体の改善についても、今後の議論のアジェンダとして掲げられている。
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各関係機関との協議
この改善案の実施には、JCBA IEO部会だけでなく、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)との協力が不可欠だ。本提案は既にJVCEAにも提出されている。
JVCEAの小田玄紀会長は、「今回、事業者及び関係者自らが主体的になり、この改善施策を取りまとめたことに最大の意義があり、業界関係者が健全な市場形成のために自らを律するルールを協議していくことは、今後の日本のWeb3市場の将来性を表しています。」とコメントしている。
JVCEAは6月に、自民党のWeb3プロジェクトチームに対して、IEO市場の問題点と改善策について説明。自民党が発表したWeb3ホワイトペーパーでは、IEOの推進が明記されるなど、市場への関心が高まっている。
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