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仮想通貨IEOの成功事例から学ぶ、トークンセール5つの注意点 

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プロジェクト初期の投資機会

暗号資産(仮想通貨)市場の成長に伴い、2023年5月現在も新しいプロジェクトが次々と登場しています。これらのプロジェクトは資金調達を目的に「トークンセール」という手法を用いることが一般的ですが、その売り出し方法は近年さらに多様化、複雑化しています。

最新版:仮想通貨IEO投資の稼ぎ方 成功事例一覧と今後の予定、参加方法とは|2024年版

一般投資家にとっては、トークンセールの仕組みや参加方法が分かりにくいと感じることも多いのではないでしょうか?この記事では、トークンセールの概要、種類、販売場所(プラットフォーム)、そして、参加時にチェックすべきポイントなどについて解説していきます。

目次
  1. トークンセールとは
  2. トークンセールのタイミング
  3. プラットフォーム
  4. 販売条件
  5. トークンセールのチェック事項
  6. トークンセール事例
  7. 注意点

1. トークンセールとは

トークンセールは、仮想通貨プロジェクトが資金調達を行う際に、新しいトークンを対価として投資家に提供する手法です。本記事で言及する「トークンセール」は、特に一般投資家から資金調達を行う「パブリックセール」に焦点を当てます。

これにより、プロジェクトは開発資金を得ることができ、投資家はプロジェクトの発展に早期から関与し、将来的なエコシステムの成長に貢献できることが期待されます。

2. トークンセールのタイミング

仮想通貨プロジェクトでは、開発組織が資金調達を行うことが一般的です。トークンを用いたパブリックセールは、その手段の一つです。

パブリックセールは、プロジェクトの進捗度や市場の状況に応じて様々な段階で行われます。トークンの販売単価は、これらの要因に影響される可能性があります。そのため、パブリックセールがプロジェクトのどの段階で行われるかを見極めることが、購入判断の一つのポイントとなります。トークンセールが行われる主なタイミングには、以下のものがあります。

  • プレシード: アイデア検証段階の資金調達
  • シード: 事業立ち上げのための資金調達
  • プライベートセール: 厳選された投資家への先行販売
  • シリーズABC: 事業拡大のための資金調達
  • パブリックセール: 一般投資家向けのセール

3. プラットフォーム

パブリックセールには、「ICO(Initial Coin Offering)」や「IEO(Initial Exchange Offering)」等があります。ここでは、トークンセールが実施される主要なプラットフォームとその特徴をご紹介します。

●IEO (Initial Exchange Offering): 仮想通貨取引所が主催し、新規トークンを一般投資家に販売する方法。取引所がプロジェクトの審査やマーケティングを行い、トークンの流動性が確保されることが期待される。

●直接投資: 投資家が直接プロジェクトに資金を提供し、トークンを取得する方法。プロジェクトと直接やり取りを行うため、リスクが伴うこともある。有力なプロジェクトはプライベートセールに限定される傾向がある。

●DeFi各種: 分散型取引所でのトークンセール「IDO(Initial DEX Offering)」や、NFTを販売し、将来的なエアドロップや特典を提供するケースなどもある。コントラクトやプラットフォームが安全であるか注意が必要。開発者が内部的に構築した場合、流動性プールの資金を引き抜く事例も出ている。

4. 販売条件

トークンセールには、トークンの価格や購入可能な量などを決めるルールがあります。代表的な販売条件としては、以下のようなものがあります。

●固定価格・無制限:トークンが固定価格で提供され、購入上限が設定されていないタイプ。トークンの需要が高ければ高いほど販売者にとって有利になる。

●固定価格・ソフトキャップ+ハードキャップ:固定価格で、最低調達額(ソフトキャップ)と最大調達額(ハードキャップ)が設定されたタイプ。このタイプでは、ソフトキャップやハードキャップが適切に設定されているかどうかが重要。

●LBP(Liquidity Bootstrapping Pool):トークン価格が高いところから始まり、時間とともに徐々に減少していく形式のトークンセール、オランダ式オークションに似た方法で資金調達を行う。

5. トークンセールのチェック事項

このセクションでは、トークンセールへの参加前にチェックすべき重要なポイントを解説します。それぞれのポイントは、投資のリスクとリターン(リスクリワード)を理解する上で重要です。

リスクリワードとは、投資に伴うリスク(損失の可能性)とリターン(利益の可能性)のバランスを指します。適切なリスクリワードを把握することで、投資家は自身にとって最適な投資判断を行うことができます。

1. プラットフォームの安全性と評判を評価
トークンセールが実施されるプラットフォームやコントラクトが安全で信頼できることを確認する。開発者が不正行為を行うことができる独自のスマートコントラクトなど懸念事項をチェックする。

2. トークン配分(初期投資・チームなど)
パブリックセール前にプライベートセールなどで資金調達を行っている場合、販売単価、数量を確認する。トークン配分(アロケーション)でプロジェクトのトークンがどのように配分されているか、開発チーム、アドバイザー、マーケティング、リザーブ、エコシステム開発などの配分割合が適切か確認する。

3. 上場後の潜在的な売却圧力を評価する
初期投資家向けに、トークンのロックアップ特約が設定されているか、その期間はどれくらいか。ロックアップとは、一定期間トークンを売却できない状態にすることで、売却による価格の急落リスクを緩和するもの。トークンを受け取る権利が徐々に解除される「ベスティング期間」もチェックする。短いベスティング期間はトークンの流動性を高めるリスクがある。

4. 上場後の潜在的な需要を評価する
類似プロジェクトとの比較により、トークンセールの単価、販売数量、調達金額を評価する。同ジャンルの成功プロジェクトと比較して需要を推測。また、プロダクトに関連したユーティリティ(実用性)の有無も重要。

5. プロジェクト評価
プロジェクトの現状や開発チームの経歴、実績、アドバイザーやパートナーシップ、開発の進捗状況をもとに、トークンの評価が適切かどうかを判断する。プロジェクトのソーシャルメディアや、Googleトレンドなどで、投資家の関心を推測する。

これらの要素を総合的に分析することで、トークンセールに参加する際のリスクとリターンを判断し、より適切な投資判断を行う一助となるでしょう。

6. トークンセールの成功事例

それでは過去の事例として、仮想通貨市場でも代表的かつ成功を収めたIEOプラットフォームであるBinance Launchpadで、大きな投資成果を残した4つのトークンセールを分析します。それぞれ、トークン価格や供給量、調達額などの条件面を中心に検証してみましょう。

プロジェクト IEO実施時期 IEO要項 IEO前の資金調達 プロジェクトチーム
(主な初期投資家)ロックアップ条件
Polygon(MATIC) 2019年4月24日 a, 販売単価0.00263ドル
b, 販売数 供給量の19%
c,調達額 500万ドル
①Seed:
a, 0.005ドル
b, 供給量の2.09%
c, 16.5万ドル
②Early Supporters:
a, 0.00263ドル
b,供給量の1.71%
c, 45万ドル
インド系、Housing.com、WazirX、Deloitte出身者(Coinbase Ventures等)
*TGE後1か月で50%ロック解除(参考
The Sandbox(SAND) 2020年8月13日 a, 0.008333ドル
b, 供給量の12%
c, 300万ドル
①Private(Strategic):
a, $0.0036
b, 供給量の4%
c, 60万ドル
②Seed:
a, 0.0050ドル
b, 供給量の17.1%
c, 257万ドル
Pixowlとしてモバイルゲーム開発実績あり、2019年5月にFunding Roundで250万ドル調達(Hashed、Klayton等)
*①②共に12か月のロックアップ後6か月毎20%ずつ解除(参考
Axie Infinity(AXS) 2020年11月4日 a, 0.1ドル
b, 供給量の11%
c, 297万ドル
Private sale:
a, 0.08ドル
b, 供給量の4%
c, 86.4万ドル
モバイルゲーム開発者中心のSky Mavis社(2019年11月にSeed投資で150万ドル調達、Animoca BrandsやHashed、ConsenSys等)
*上場時20%ロック解除(参考
STEPN(GMT) 2022年3月2日 a, 0.01ドル
b, 供給量の7%
c, 420万ドル
Private sale:
a, 0.005ドル
b, 供給量の16.3%
c, 489万ドル
Ubisoft、Binance出身者が中心、Cryptokicks開発実績(2022年1月にFunding Roundsで500万ドルを調達、Sequoia Capital、Solana Ventures等)
*12ヶ月間ロックアップ後、6ヶ月毎に20%ずつ解除(参考

「プラットフォームの安全性」以外の4つの分析基準に基づいて、Axie Infinity, Stepn、Polygon、Sandboxの投資条件を見てみると、以下のように共通点を見出すことができます。

1. 資金調達の段階: すべてのプロジェクトが、IEO前に資金調達(Seed、Private saleなど)を行っており、プロジェクトの成長のための十分な研究・開発費や運転資金が確保されています。

2. トークン価格: IEO前の資金調達段階とIEOでのトークン価格が段階的に上昇しており、プロジェクトの信頼性や将来性が市場から評価されていることを示す場合があります。投資家はそのプロジェクトに対する市場の評価が高まっていると捉え、テクニカル分析が良好であれば、今後も価格が上昇することを期待する可能性があります。

3. ロックアップ期間: すべてのプロジェクトが、IEO前の資金調達段階でロックアップ期間を設定しており、上場後の売却圧力が低い状況が期待できます。また、ロックアップ解除のスケジュールが徐々に行われることで、一度に大量のトークンが売却されるリスクが低減されています。

4. プロジェクトチームと初期投資家: すべてのプロジェクトにおいて、プロジェクトチームの経歴や実績が豊富であり、また信頼性の高い初期投資家及びベンチャーキャピタルが出資などで関与しています。これにより、プロジェクトの将来性が高く評価されることが期待できます。

これらの共通点を踏まえて、Axie Infinity、 Stepn、Polygon、Sandboxは、投資家にとって魅力的な投資条件を持つプロジェクトと言えます。実際に4つのプロジェクトのIEO上場直後のROI(投資対効果)は高いものでした。

仮想通貨 IEO販売単価 上場時終値 ROI
MATIC 0.00263ドル 0.0044ドル 1.67倍
SAND 0.008333ドル 0.066ドル 7.9倍
AXS 0.1ドル 0.18ドル 1.8倍
GMT 0.01ドル 0.14ドル 14倍

最大14倍ものROIを叩き出したSTEPN(GMT)を例に取ると、総供給量(合計60億 GMT)のうち、プライベートセールとBinance Launchpadセールでそれぞれ9.78億 GMTと4.2億 GMTが割り当てられました。

ロックアップ条件により、Binance上場時の初期流通量は総供給量の10%にあたる6億 GMTに抑えられました。これにより、上場直後の売却圧力が低く抑えられ、トークン価格の急激な下落を防いだ可能性があります。

一方、プライベートセールとIEOの価格差は、プライベートセール参加者に対するインセンティブを高め、IEOにおける購入意欲を高めた可能性があります。また、資金調達額が適切に設定されていたことも投資家の信頼を高めたと考えられます。

7. 注意点

トークンセールにはリスクが伴います。詐欺プロジェクトや失敗するプロジェクトがあるため、投資家は慎重に調査し、リスクを十分に理解する必要があります。

本記事では、「トークンセール」に焦点を絞り、トークン価格や供給量、調達額などの話題を中心に解説しました。そのため、リスクや規制、税務上の注意点など、その他の関連トピックは取り扱っていないことをご了承ください。

関連:仮想通貨の新たな資金調達法、IEOとは|ICOとの違いやメリットを解説

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