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仮想通貨の新たな資金調達法、IEOとは|ICOとの違いやメリットを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

IEOについて

IEO(Initial Exchange Offering)という新たな資金調達方法が注目を集めています。

これまで詐欺などの問題の多かったICO(Initial Coin Offering)の代替手段として、既存金融におけるIPO(新規公開株式)に類する仕組みを取り入れ、暗号資産交換業者(仮想通貨取引所(で資金調達を行うというものです。

この記事では、IEOのメリットと将来性について解説します。

目次
  1. IEOとは
  2. IEOのメリット
  3. なぜIEOが生まれたのか
  4. 主要なIEOプラットフォーム
  5. IEOの今後と将来性

IEOとは

IEOとは、トークン発行によるコミュニティの形成・強化や資金調達を暗号資産(仮想通貨)取引所が支援するものです。これまでのICOに代わる資金調達方法で、その名の通り仮想通貨取引所(Exchange)にて行われます。

企業やプロジェクト等の発行体がユーティリティ・トークンを電子的に発行することで資金調達を行う仕組みであるICO(Initial Coin Offering)の中でも、暗号資産取引所が主体となって発行体のトークンの販売を行うモデルをIEOと呼称します。

引用:Linl-Uプレスリリース

IEOにおいて投資者は、該当する暗号資産(仮想通貨)取引所のトークンを購入し、それを用いてIEOに参加することになります。取引所は、IPO(新規株公開)における証券会社に近い働きをすることになり、販売主体はトークン発行者から取引所に代わります。

この違いが、2019年以降にIEO需要を喚起した大きな理由のひとつと言えるでしょう。

IEOのメリット

ICOに代わる資金調達法として期待されるIEOは、ICOの様々な問題点を解決するものです。結果としてIEOは投資家にとってはもちろん、トークン発行者にもメリットがあるシステムとなっています。

1. 信頼性の向上

IEOにおいて、トークン発行者は仮想通貨取引所によってスクリーニングされます。これを行うことによって取引所側がIEOの信用を一定程度担保することになるため、投資家の懸念は大幅に払拭されます。万が一取引所がトークンが信用できないと判断した場合、取引所がIEOを中止することもあり得ます。

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2. セキュリティ

ICOのように、トークン発行者がクラウドセールのスマートコントラクトを管理するのではなく、IEOではトークンの販売は、基本的に取引所のシステム上で行われます。大手仮想通貨取引所であるバイナンスでは、利用者はバイナンスのトークンを保有し、抽選に登録さえすれば購入できる仕組みを取りました。

これに加えて、マネーロンダリング対策も取引所のシステムで行われるため、トークン発行者側がセキュリティの労力を抑えることができるというメリットもあります。

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3. マーケティングの利便性

ICOと異なり、IEOは実施された取引所にて「上場(取り扱い開始)」が確約されています。このため取引所はトークンのマーケティングを支援することとなり、さらに取引所の固定客によるIEOの支援者の増加も考えられます。

IEOとICOの歴史

なぜIEOが行われるのかについては、ICOの問題が深く関わっています。ICOは投資者保護の観点から多くの問題点があったのです。

最初のICOは、2013年に行われたMastercoin(現Omni)で、およそ50万ドルをクラウドファンディングしました。その後投機的な需要からICO数は爆発的に増え、2017〜18年のピーク時には、1000以上のICOが行われるまでになりました。

しかし、イノベーションに対して「規制」が追いついておらず、実態として詐欺に近いものも多くありました。

ICOはIPOなどと違いブローカーが存在せず、投資者が直接仮想化を用いてプロジェクトをファンドする形です。この支援の容易さとマーケティングによる興奮に乗じて、多くのICOはバブル化しました。トークンは証券ではなく、ICOを審査する団体も縛る規制もなかったため、集金後に雲隠れするICO主催者も存在するなど、半ば無法地帯と化したことが各国で問題視されたのです。

このため、各地でトラブルが発生し、世界中の国でICOに対する規制が大幅に強化されます。

2017年9月に中国は「金融の秩序を乱す」として全ICOの禁止処置と仮想通貨取引所の閉鎖を決定、同時期に米国では、トークンの有価証券認定が行われ、取引が厳しく制限されることとなりました。

日本でもICOは仮想通貨取引所としての認定、またはそれをかいくぐるトークンの設計が必要となり、日本在住の日本人の海外ICOへの参加も規制されました。

 関連:金融庁がICO規制を検討/2017年実施ICOの状況とは

著名なIEOプラットフォーム

そのような背景を経て、IEOの需要が急速に高まった経緯があります。代表的なものとして、Binance Launchpadが挙げられます。

Binance Launchpadとは

Binanceによって設立された最大規模のIEOプラットフォームです。 2019年1月に行われたBitTorrent(BTT)のトークンセールは、わずか15分で完売、700万ドル(7億円)余りが集まりました。ただし、バイナンスは日本向けのサービスを終了したため、日本居住者は利用できません。

関連:バイナンスCZ、IEO市場に大きな期待感
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Huobi Prime

Huobi Globalにて利用可能なIEOプラットフォーム。Binance同様規模は大きいですが、現在日本からHuobi Globalは利用できず、Huobi Japanのみとなるため、日本居住者は利用はできません。

なお、厳密には「IEO」ではなく、Huobi側はセール+取引のプラットフォームのサービス「DPO」(ダイレクト・プレミアム・オファリング)と名付けています。

IEOの今後

国内では、東証一部上場企業であるマネックスグループ傘下のコインチェックが、IEOの提供を発表しています。

2020年8月には、HashPaletteと合同でのパレットトークン(PLT)のIEOプロジェクトの発足を発表しました。実現すれば、日本で最初のIEOとなります。

HashPaletteは、ブロックチェーン分野で豊富な実績を有する株式会社HashPortと、株式会社Link-Uの合弁会社です。

関連:コインチェック、仮想通貨のIEO事業やNFTマーケット開拓に本腰へ

国際的に規制の厳しい金融庁のホワイトリスト入りするためのハードルは高いものの、これまで事例の乏しかった国内主導のトークンセールは、セカンダリマーケットを含め、市場から大きな関心を集めるものと思われます。コインチェック以外にもIEOを検討している国内大手取引所もあり、今後の進展が期待される分野と言えるでしょう。

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