英国投資協会、資産トークン化で政府当局と協力
英国、トークン化商品の開発を許可
英国の投資業界団体「The Investment Association(投資協会)」は24日、政府当局が英国の認可ファンドに、トークン化商品の開発を許可したと発表した。この協会は、英国の投資管理業界の団体で、250の会員企業が約1,660億円(8兆8,000億ポンド)の資産を管理している。
投資協会は、英財務省および金融行為監視機構(FCA)と連携して「英国資産トークン化―実装の青写真」というレポートも公開している。資金トークン化を通じた分散台帳技術(DLT)導入のロードマップを明かす形だ。
今回のレポートでは、第1段階として、既存の法規制の枠組み内で実施可能で、投資管理会社がすぐに導入できるトークン化実装のベースラインモデルを概説した。
RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債権等の有価証券などが含まれる。
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現在、現実資産(RWA)トークン化について各国の企業や政府から注目が高まっているところだ。今回の動きは、英国でも、投資業界と政府が連携してこうした分野を探っていることを示すものとなる。
日本でも22日、岡三証券グループがみずほ証券ら6社と連携して創業100周年記念のセキュリティトークン(ST)債を発行すると発表したところだ。
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ファンドのトークン化の利点
英国政府では今年初めに、資産管理タスクフォースで新たにテクノロジーワーキンググループが設立されていた。このワーキンググループの議長を務めるミシェル・スクリムジョール氏は、資産トークン化の意義について次のように説明している。
ファンドのトークン化は、効率性と流動性の向上、リスク管理の強化、オーダーメイドのポートフォリオ作成をより容易にすることで、業界の運営方法に革命をもたらす大きな可能性を秘めている。
投資管理業界、金融行為監視機構(FCA)、財務省のパートナーシップと協力により、変化に向けた勢いが生まれている。こうしたことは、私たちが必要とするイノベーションを実現するために不可欠なものだ。
英国が技術開発の最前線に立ち続けることが極めて重要である。
FCAの市場担当エグゼクティブディレクターなどを務めるサラ・プリチャード氏も、業界と緊密な協力を続けていくことを楽しみにしていると述べた。
トークン化の第一段階
また、レポートは、第一段階についてレジストリおよびトランザクション機能において分散型台帳技術(DLT)を導入するものだと説明している。
特徴としては、FCAの認可を受け、既存の業界規範に沿った法規制の範囲内にあること、株式や債券など主流の投資資産をトークン化するもので、暗号資産(仮想通貨)などは保有しないとしている。
また、資金決済は完全にオフチェーンで行われ、その過程でデジタルマネーは一切使用されないとも続けた。
ワーキンググループは2024年2月頃にかけて、さらに第二段階を探る予定である。第一段階で確立したモデルをさらに様々な方法で発展させる見込みだ。
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