中国、観光客向けにデジタル人民元ウォレット開設マシンを設置
海外ユーザー向けのウォレット開設マシン
中国は、外国のパスポート保持者向けにデジタル人民元ウォレット開設マシンを設置した。中国銀行の東莞支店が、日本、香港、台湾、韓国からの旅行者が行きかう黄浦税関の太平部署で自動のウォレットマシンを稼働させた格好だ。21Jingjiが報じた。
デジタル人民元は、中国の人民銀行が進めている中央銀行デジタル通貨(CBDC)であり、10月には初めて原油取引が成功。上海石油天然ガス取引所がデジタル人民元により原油100万バレルを購入した。
広く様々な国の観光客が使えるウォレット開設マシンの設置は初となる。ユーザーは、今回のウォレットマシンで、デジタル人民元ウォレットを開設することができる。
米ドル、ユーロ、香港ドル、マカオパタカなど18種類の法定通貨とデジタル人民元の交換を行うことが可能だ。英語、フランス語、日本語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、ロシア語など7つの言語に対応している。
その他に、外貨現金からデジタル人民元ウォレットへのチャージ、デジタル人民元ウォレットの残高照会や取引詳細閲覧などの機能が搭載されている。
旅行者がこのマシンを使うには税関検査が必須であり、海外パスポートなどの身分証明書が必要だ。香港やマカオのIDカードなども証明書として使うことができる。
中国銀行東莞支店の職員は、次のように説明した。
旅行者は、マシンで外貨現金をデジタル人民元ウォレットの資産へと両替した後、デジタル人民元を取り扱っている店舗で支払いを行ったり、デジタル人民元アプリによりウォレットで両替を行うこともできる。
現地メディア21Jingjiによると、ケータリングや食品、交通機関、スーパーマーケットや各種小売店など様々なサービスでデジタル人民元の加盟店が存在している。
デジタル人民元ウォレット開設マシンは、限定的に珠江デルタの他の地域にも設置されたことがある。実証実験の一環として、香港とマカオからの旅行者専用に導入したものだった。
香港では7月、デジタル人民元によるショッピングフェスティバルも実施されている。この際には200以上の店舗がデジタル人民元による決済を受け入れた。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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デジタルルーブル進めるロシア
ロシアも、CBDCであるデジタルルーブルの計画を進めているところだ。8月にプーチン大統領は、デジタルルーブルによる決済を可能にする法案に署名。実消費者を対象とした試験運用を可能にする動きである。
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また、ロシア議会の金融市場委員長であるアナトリー・アクサコフ氏は、デジタルルーブルは「最高の通貨形態」となると述べ、CBDCについての詳細な計画は「非常に近い将来」に発表されるだろうと話した。
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