「多極化した通貨システム」構築を呼びかけ
ロシアのアレクサンドル・ババコフ下院副議長は3月29日、インド、ロシア、中国は、優先事項として、新しい共通通貨の下に新たな金融関係を構築すべきだと述べた。ロシアのニュースメディアTassなどが報じた。
この発言は、インドのニューデリーで開催されたロシア・インドビジネスフォーラムの席で行われたものだ。ババコフ氏は次のように説明している。
インド、ロシア、中国は今、多くの国々に支持されるような多極化した世界を創り出そうとする国々だ。そうした多極構造を築く上では、米ドルやユーロを保護するよりも、我々の目標に資する新しい通貨のシステムに基づく、新しい金融関係に基づくべきだ。
また、米ドルやユーロは、西側諸国が定めたルールのおかげでその機能を果たしているが、こうしたルールは、ロシア、インド、中国を対等なパートナーとして考えていないとも主張した。
CBDC活用も検討か
さらにババコフ氏は、こうした通貨システムを作る上では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)も念頭に置いていることを示唆している。同氏は、次のように続けた。
私たちの最初の目標は、すでに存在している通貨を(新たなシステムで)使えるようにするために、金融分野で新しいルールを作ることだ。
それは、デジタルルーブルでも、デジタルルピーでも、デジタル人民元でも、あるいは他の通貨でもよいだろう。重要なのは、こうした通貨がそれぞれ参加国の法律に従うことだ。
ロシアのルーブルは、ウクライナ侵攻を受けて、2022年3月に一時0.88円相当にまで下落したが、現在は1.7円相当にまで回復している。
IndiaTVによると、ニューデリーでの会議は、インドとロシアのビジネス関係を促進し、ロシア企業のインド市場への参入を後押しすることも目的の1つとしている。また、ロシアの大手石油会社ロスネフチは、インドへの原油供給を増やすため、インドの石油会社と協定を締結したところだ。
ロシアは、西側諸国からの経済制裁以降、インドなど友好国へのエネルギー資源輸出を増やしている。ロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相は28日、ロシアのインドへの石油輸出量は少なくとも22倍に増加したと話した。
デジタルルーブル取引開始へ
ロシア中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ総裁は3月21日、2023年中に中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタルルーブルを使った実際の取引を開始する見込みだと発表している。ロシア中銀は2022年2月よりデジタルルーブルの試験プログラムを開始していた。
ナビウリナ氏は、デジタルルーブルを国際決済でも利用することを念頭に置いているとしている。
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中国はすでにデジタル人民元の大規模な実証実験を複数回にわたって実施しているところだ。1月には、スマートコントラクト機能を導入。まずは電子商取引プラットフォームで注文情報を自動的に識別する機能を取り入れており、消費者が抽選でお金をもらうこともできるようにした。
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CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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