SEC、ビットコイン現物ETFを2対3で上場承認 委員長ら経緯と見解を明かす
5対3で承認
米国証券取引委員会(SEC)は11日、11銘柄のビットコイン現物ETF(上場投資信託)の上場承認を発表した。委員長を含む投票権を持つ5人のコミッショナーのうち、2票が反対だったものの、多数決で承認に至っている。これに関連して、投票に参加したメンバーのうち4人が見解を公開した。
仮想通貨反対派のゲーリー・ゲンスラー委員長は賛成票を投じており、グレースケール裁判の判決により方針転換を余儀なくされた、といった主旨のコメントをしている。複数ETFの加速承認に至った理由について、発行者に公平性と競争を促進するための均等な競技場が生まれるため、と確認した。
同氏はまた、他の暗号資産(仮想通貨)の上場承認を示唆するものではないと強調。ビットコインは主に投機的で不安定な資産であり、違法な活動にも使用されることから注意が必要と警告した。
私たちは中立的な立場を保っているが、金属ETP(上場取引商品)の基礎資産には消費者や産業用途がある一方で、ビットコインは主に投機的で変動が激しい資産であり、身代金要求型マルウェア、資金洗浄、制裁回避、テロ資金調達などの不正行為にも使用されている。
声明によると、SECは2018年から2023年3月までに20以上のビットコイン現物ETFの上場申請案を却下してきた。しかし、2023年8月、ワシントンDC巡回控訴裁判所は、SECがグレースケールの提案したETF申請を却下した際に十分な説明を行わなかったと判断し、委員会に差し戻した経緯がある。
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SECの信頼回復へ
賛成票を投じたコミッショナーであり、仮想通貨に対して肯定的な立場を取ることから「クリプト・ママ」という愛称で知られるヘスター・パース氏は、裁判所の介入(グレースケール裁判)がなかった場合、さらなる遅延が生じていた可能性があると示唆した。SECの拒否姿勢により、一般投資家が証券市場でビットコインに投資する手段が制限されていたが、現物ETFの承認によって詐欺や操作に対する防止策が示されたと主張している。
パース氏はまた、長年にわたるビットコイン現物ETFの承認遅延を憂い、この不均等な取り扱いがイノベーションを疎外し、多くの害をもたらしたと指摘した。委員会の信頼が損なわれ、スタッフリソースの浪費、SECの役割の混乱、不必要な注目の集中、新製品の開始遅延、業界との関係悪化が生じたと述べた。
反対票を入れた2人のうち、キャロライン・A・クレンショー氏は、投資家保護を犠牲にする可能性があると主張し、今回の判断に異議を唱えた。提案された規則変更が詐欺や操作を防ぐために合理的に設計されておらず、投資家や公共の利益を保護していないという理由で反対姿勢を取り続けている。
反対票を投じたハイメ・リザラガ氏は、その理由については明らかにしていない。一方で、賛成票を投じた最後の人物であるマーク・T. ウエダ氏は、承認には同意するものの、いくつかの重要な懸念点を提起している。特に、「重要な市場」テストの欠如について指摘し、委員会がスポットビットコインETF間の先行者利益を防ぐ目的で申請の承認を急いだことに対して懸念を表明している。
*本記事の初期バージョンでは、タイトルに誤解を招く表現が含まれていました。読者の正確な理解を促すため、タイトルを変更いたしました。ご不便をおかけしたことをお詫び申し上げます。
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