「Web3・AI技術をメタバースに活用するメリットと課題」MudAiのCEOが語る

もう1人の自分を構築

2023年7月開催のWebXカンファレンス(以下、WebX)で出展したプロジェクト「MudAi」のKatey Park CEOはCoinPostの取材に応じた。

MudAiはメタバースのプロジェクト。Web3や人工知能(AI)の技術を活用し、人類に新しい空間を提供しようとしている。

プラットフォームを使うためには、MudAiのプロフィールを作成する必要がある。その際にユーザーは自身がカスタマイズした独自のアバター(分身)を作成。このアバターはブロックチェーン上でNFT(非代替性トークン)として発行される。

MudAiは昨年のWebXでゴールドスポンサーに就任。Park氏はWebXで講演も行い、MudAiについて語った。

インタビュー内容

今回のインタビューでは改めてプロジェクトを紹介してもらった。Park氏は「わかりやすく言うと、電子上にもう1人の自分を作り出せるようにするプロジェクトだ」と説明している。

また、プロジェクトでは「新しいものを作ること」ではなく「現在の無駄を減らすこと」に特化していると紹介。つまり、睡眠など本能的な欲求を満たすこと以外をアバターにやってもらって効率化し、1日の時間をより有効に使用できるように取り組んでいると説明した。

例えば、情報を入手したり、誰かと対話したりすることを人間が操作せずにAIが自律的に行ってくれれば、その間に人間自身は他のことに時間を割けるようになる。

他にも、今回のようなインタビューで、事前にアバターが議題を話し合っておくなど、ビジネスでも活用できるとPark氏は述べた。

最終的には、おおまかな指示であってもアバターがメタバースで24時間生活したり、経済活動を行ったりできるようになるように開発を進めているとした。

Web3技術の活用

次に、MudAiのプロジェクトでどのようにブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)を活用するのかを聞いた。

Park氏はまず、Web3ウォレットを活用していると説明。本人確認(KYC)なしでMudAiのアプリにログインできるようにするために、Web3ウォレットを介する仕組みを導入したと述べている。

そして、これにはプロジェクトの思想が背景にあるとし、「人格はKYCに紐づくのではなく、意思に紐づかないといけないと考えている」と説明。この思想から、個人を定義しないWeb3ウォレットがプロジェクトに適していると判断したという。

他にはメタバース上での経済活動に仮想通貨を活用すると述べている。経済活動とは金銭の授受であり、メタバースで法定通貨を使用すると法的または倫理的な問題が起こりうると指摘した。

その活動を仮想通貨で行うことで、アバターに委ねられることが増えるとPark氏は主張。他にもデータの管理にブロックチェーンを活用する計画があると明かしている。

今後は実際にユーザーが使用することができるメタバースをローンチし、データ収集なども開始していくと説明。アプリでデータ収集に協力してくれるユーザーには報酬を付与することを計画しているとPark氏は述べた。

AI活用の難しさ

次に、AIの現在のレベルや活用する難しさについて話を聞いた。

Park氏は、基本的に人間の90%クローンといったAIや擬似人格を作ることは、今の技術では非常に困難であると明かした。MudAiのチームが開発しようとしているのは「汎用型のAI(AGI)」であり、現状ではChatGPTを開発するOpenAIもAGIを明確に提供できていないと語っている。

さらに、MudAiはAGIをメタバースで稼働させることを計画しており、そこにも技術的なハードルがあると指摘。現在は「AIを使って人格を作ることができるデータセットは何なのか」を探っている段階だと話した。

Park氏は、データセットのために質問をしたり、開発が一定のところまで終わっているメタバースをリリースしたりする時期にも、この難しさが影響する可能性があると述べている。

WebXへの参加について

MudAiのプロジェクトは今年のWebXにも出展することが決まっている。今回のインタビューでは、最初にWebXに参加すると決断した理由を質問した。

MudAiは、もともと海外で開発を進めていたプロジェクト。開発から2年超が経過し、プロジェクトチームが日本などで対外的にカンファレンスやサイドイベントをやりたいと考えていた時期にちょうどWebXが開催されたとPark氏は答えた。

他には、メタバースの開発が進み、デモを見せられる段階にあったことも参加の理由だと説明。また、他の企業やコミュニティ、投資家と交流することも目的だったと話している。昨年のWebXでは、MudAiのブースに約150人が訪れたと語った。

Park氏は、昨年のWebXに参加して最も良かったことは、横のつながりを構築できたことだと述べている。

また、今年のWebXでは、メタバースやDEXなど可能なものはデモ版を見せたいと意欲を見せた。そして、今年はサイドイベントをスポンサーするだけでなく、サイドイベントを主催するなどして、交流の幅を一層広げていきたいとも話している。

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WebX 2024について

2回目のカンファレンスとなる「WebX 2024」は、2024年8月28日(水)と29日(木)の2日間、ザ・プリンスパークタワー東京で開催する。

前回のWebXは、来場者数1万6,500人、スピーカー数290人、協賛・協力企業372社(団体含む)と、想定を大きく上回る反響を集めることができた。また、政府・行政関係者では、岸田文雄総理をはじめ、西村康稔経済産業大臣(当時)や萩生田光一政務調査会長(当時)、小池百合子都知事、吉村洋文大阪府知事らが講演している。

今年のWebXのビジョンは「既存のWeb1・2業界と新たなWeb3業界における産業間の架け橋となれるよう目指すこと」。このビジョンを実現するため、Web3業界における世界各国のリーディングカンパニーや関係者はもちろんのこと、仮想通貨・ブロックチェーンと普段接点のない事業者や、日本国内のみならずアジアのレギュレーターや推進省庁らも積極的に誘致したいと考えている。

また、アジアを代表するWeb3推進ハブの一つとなれるよう、積極的に海外のカンファレンスなどとも連携していく予定だ。

■開催日:2024年8月28日(水)・29日(木)

■開催場所:ザ・プリンスパークタワー東京

■主催:WebX実行委員会

■企画 / 運営:CoinPost

■来場者数(見込):20,000人以上

■参加企業数(見込):2,000社以上

■出展企業数(見込):150社以上

■メディアパートナー数(見込):100社以上

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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