「Layer N」テストネット、1秒あたり最大12万回の高速取引を達成
テストネットで12万TPSを記録
イーサリアム(ETH)上に構築されたレイヤー2(L2)ネットワークである「Layer N」は30日、クローズドテストネットで1秒あたりのトランザクション数(TPS)120,018回を達成したと報告した。
テストは、取引に最適化された新ロールアップエンジン「Nord Engine」を活用して行われている。継続的に1秒あたり20,000トランザクションを処理し、ピーク時で1秒あたり約12万トランザクションを処理した格好だ。
Layer Nによると、12万TPSという数字は、主要なイーサリアム・スケーリングソリューションの100倍にあたる。なお、ロールアップとは、トランザクションの一部をブロックチェーン外で処理することにより、ネットワークの混雑解消を図るソリューションだ。
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比較として、ソラナのFiredancerクライアントが初期テストネットで100万TPS以上の処理能力を示したことや、Suiが昨年4月テストネットで30万TPSを出したこともあった。
レイヤー2(L2) とは
「2層目」のブロックチェーンのこと。全ての取引履歴をメインチェーンに書き込むと負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。そこで、取引履歴の一部をオフチェーンやサイドチェーンに記載するようにすることでメインチェーンへの負荷軽減や処理速度向上を期待することができる。
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Layer Nとは
Layer Nは、通信層と流動性層を共有する、イーサリアム・ロールアップノードのネットワークである。一般化可能で、同時に、ある複雑なアプリケーションに固有の高度に最適化されたロールアップも可能にする。
2023年9月には、Founders Fundとdao5が主導したシードラウンドで約7.4億円(500万ドル)を調達した。Kraken Ventures、Mirana Ventures、GSR、Amber Groupなども出資している。
Layer Nのディマ・ロマノフCEOは、目標はイーサリアム仮想マシン(EVM)の独自バージョンを含む、複数の最適化されたロールアップを立ち上げることだと語った。「Nord Engine」とも互換性があるものにするとしている。
ロマノフ氏は、Layer N上に取引所を構築する開発者が、Layer Nを用いたアプリケーションをプラットフォームに埋め込むことができるようにすることも構想していると話した。
Layer Nは、EigenLayerを利用した「EigenDA」というデータ可用性(DA)層を使用して、ロールアップの一部としてバッチ化されたトランザクションデータを保存する。これにより、イーサリアムメインネットに保存するよりも低コストとなる。
EigenLayerは、イーサリアムのステーキングトークンを再利用してセキュリティを強化する「再ステーキング」機能を提供するプラットフォームだが、DAソリューションでも注目を集めているところだ。
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L2の今後
イーサリアム次期アップグレード「Dencun」では、L2の取引手数料を大幅に引き下げることが期待される「プロト・ダンクシャーディング」という機能が実装される予定だ。
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イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、イーサリアムのレイヤー1がZK-EVMを直接提供することを提案しているところだ。レイヤー2でのガバナンスの必要性が大幅に減少し、レイヤー2の効率とセキュリティが向上する可能性があると説明する。
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