CoinPostで今最も読まれています

モジュラー(連結式)ブロックチェーンの次のトレンドは? Celestiaのエアドロップ事例やEigenLayerエコシステムを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

連結構成でスケーリング問題に対処

2024年のブロックチェーン技術の主要な動向として、「モジュラー(連結式)」アーキテクチャが注目されている。このアプローチは、機能的な役割分担の効率性を背景に、ブロックチェーンのスケーリング問題に対処。また、エアドロップや、それを期待させるポイントシステムでユーザー獲得戦略に成功している。

今回は、この分野の代表的なプロジェクトであるCelestiaとEigenlayerに焦点を当てて紹介したい。

モジュラー・アーキテクチャでは、ブロックチェーンの主要機能を独立した層に分け、それぞれ特化した機能を分担する。これは、EthereumやSolanaのような一体型(モノリシック)ネットワークと異なり、実行(トランザクション処理)、決済(取引が変更不可能になるプロセス)、コンセンサス形成(安全性と整合性を保つプロセス)、データ可用性(データへのアクセス・検証能力を保証)などを個別のネットワークが請け負う。

このアーキテクチャにより、一体型チェーンの拡大(スケーリング)問題を克服し、アプリケーション設計の柔軟性や技術的需要への適応性向上を図る。特定の機能や要件に対応するために協調されたブロックチェーンが形成される。

アプリ固有ロールアップとの連結

出典:Celestia Labs

特に注目されるのは、モジュラー・アーキテクチャを取り入れた『ロールアップ』だ。例えば、EthereumベースのロールアップであるArbitrumは昨年10月、開発者がデータ可用性層としてCelestiaを選択できるようにした。この場合、構成は実行層(Arbitrum)、決済層(Ethereum)、コンセンサス層(Ethereum)、データ可用性層(Celestia)となる。

関連:モジュラー型BC構築「Celestia」、58万アドレス対象エアドロップで初期参加促す

ポリゴンもDAレイヤー「Celestia」に対応を開始。また、Celestiaの競合も台頭しており、Near Protocolがイーサリアム上でNEAR DAを立ち上げ、StarknetのMadara等が使用するとの報告がある。ポリゴンから独立したAvailは、2024年にメインネットローンチを予定している。

イーサリアムは次期アップデート「Dencun」でEIP-4844(Proto-Danksharding)を実装し、L2ロールアップフィーを2-10倍低減すると期待されている(Coinbase調べ)。こうした背景もあり、モジュラー・アーキテクチャを取り入れたロールアップの重要性は一層高まっている。

関連:ポリゴンのモジュール型ブロックチェーンAvail、独立へ

エアドロップでコミュニティを惹きつける

「ロールアップ・アズ・ア・サービス(RaaS)」および対応するSDK(ソフトウェア開発キット)が提供されていることにより、アプリケーション専用のモジュラー・ロールアップの構築や、カスタマイズされたAppRollupの迅速なデプロイが、低いコーディング要件で実現可能となった。

特に、Celestiaをデータ可用性層として使用する新規プロジェクトでは、初期ユーザー獲得のための戦略として独自トークンをTIAをステーキングするコミュニティに配布する、一種の慣習が浸透した。

出典:CoinMarketCap

Celestiaの有用性が市場に認識されるにつれて、TIAトークンの需要が高まり、その結果、TIAトークンの時価総額は昨年後半に急上昇した。しかし、2024年10月にはTIAの大規模なアンロックが予定される等、新たにTIAを購入を検討する投資家には、リスクとリターンの両面を慎重に考慮する必要がある状況だ。

一部ではTIAトークンに関連してデルタニュートラル戦略が推奨されている。デルタニュートラル戦略は、原資産の価格変動リスクを軽減するための手法で、TIAトークンの保有と同時にヘッジポジションを構築する対策だ。

EigenLayerへの関心

EigenLayerは、データ可用性ソリューションの側面でも注目を集めているプラットフォームだ。

このプラットフォームは本来、イーサリアムのステーキングトークンを再利用してセキュリティを強化する「再ステーキング」機能を提供する。DeFillamaによると、執筆時点に18億ドル以上の資産がロックアップされており、EigenLayer上では資産セキュリティの活用先となるアプリケーションが構築され、広範なエコシステムを形成している。

関連:EigenLayer基盤のイーサリアム「リステーキング」Renzo、320万ドル調達

例えば、EigenLayerを利用した「EigenDA」というデータ可用性(DA)層がある。Celestiaがコンセンサス層とDA層を一つにしているのに対し、EigenDAは単独のDA層を構築。EigenDAはイーサリアムの再ステークで運用され、トランザクションの増加に伴いDA層の使用が増え、報酬は再ステーク参加者に分配される。イーサリアムのコンセンサス層とDA層を分離することで、イーサリアムのセキュリティを維持しながらスケーラビリティを改善する。

EigenLayerエコシステムの共有セキュリティへの貢献度を示す指標としてRestaked Pointsが使用される。出典:EigenLayer

そして「AltLayer」は、EigenLayerのイーサリアムの再ステークで運用されるRaaSフレームワーク「Restaked Rollups」を提供する。AltLayerのRaaSフレームワークは、Polygon CDKやArbitrum Orbitなどの重要なロールアップスタックをサポートしており、DeFi、SocialFi、ゲームの分野で、このRaaSおよび再ステーキングベースのロールアップが採用されているという報告も出ている。

AltLayerは、著名な投資家からの資金調達に成功しており、グローバル版の仮想通貨取引所BinanceのLaunchpoolプラットフォームにて45番目のプロジェクトとして選出された。投資家はBinanceでの流動性提供(ファーミング)の期間と量に応じて、ALTトークンを受け取る。ALTは1月25日にグローバル版Binanceに上場予定だ。

AltLayerはトークンローンチに向けて、CelestiaとEigenLayerのステイカーへのアロケーションも用意している。

出典:AltLayer

関連:エアドロップなどで注目集めるManta Network 、バイナンス上場予定

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア