
ビットマインなどトレジャリー企業へ投資
暗号資産(仮想通貨)VC大手パンテラキャピタルは12日、「デジタル資産トレジャリー(財務戦略)企業の価値創造」と題する投資家レターを発表した。
仮想通貨をバランスシート上に蓄積する戦略を取る企業に3億ドル(約440億円)超を投資していると述べる。
このポートフォリオには、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、BNB、トンコイン(TON)、ハイパーリキッド(HYPE)、スイ(SUI)、エテナ(ENA)に投資する企業が含まれている。地理的には、米国、英国、イスラエルに拠点を置く企業が対象になっているところだ。
具体的な投資先企業としては、ビットマイン、トゥエンティワンキャピタル、DeFiディベロップメントコープ、シャープリンクその他の企業が挙げられる。
パンテラキャピタルは、デジタル資産トレジャリー企業(DAT)への投資理論について次のように説明した。
こうした企業はデジタル資産から利回りを生み出し、1株当たり純資産価値を増加させることができる。このため、現物だけを保有するよりも長期的に裏付けとなるトークンの保有量を増やすことが可能だ。
したがって、DATの株式を保有することで、トークンを直接保有したりETF(上場投資信託)を通じて保有したりするよりも高いリターンが得られる可能性がある。
一方で、フランクリン・テンプルトンのアナリストや、スカイブリッジ・キャピタルのアンソニー・スカラムッチ氏などからは、仮想通貨トレジャリー戦略のリスクなどについての懸念もあがっているところだ。
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イーサリアム・トレジャリー企業の事例
パンテラキャピタルは、同社DATファンドによる最初の投資先であるビットマイン(BMNR)をケーススタディ(事例研究)に取り上げた。
ビットマインは11日、イーサリアムの保有量が約115万枚(時価約7,800億円)を超えたと発表したところだ。同社はイーサリアム総供給量の5%取得を目指す「5%の錬金術」戦略を掲げている。
ビットコイン蓄積で知られるストラテジー社をモデルとしており、株式や転換社債の発行により資金を調達してETH保有量を継続的に増やすことや、ステーキング収益を再投資することを内容とするものだ。
パンテラキャピタルは、DATに投資するにあたり最も重要な要素は、その基礎となるトークンの長期的な投資メリットだと指摘。ビットマインのETH蓄積は、イーサリアムが今後10年間で最大のマクロトレンドの一つになるという仮説に基づいていると続けた。
特に現実資産(RWA)トークン化とステーブルコインの重要性の高まりに伴い、「大規模なオンチェーン移行」が進行中だとしている。
RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。RWAのトークン化の可能性は、資産運用最大手ブラックロックらも注目している。
また、DATの株式のプレミアムが正当化されるのは、投資家がその企業が1株当たり仮想通貨NAV(Net Asset Value:純資産価値)を持続的に成長させることができると信じている場合だとも述べる。
大手銀行のプレミアム価格と同様のものだとして、次のように説明した。
銀行は資産から利回りを生み出そうとしており、投資家は資本コストを上回る利回りを持続的に生み出せると信じる銀行に、バリュエーションプレミアムで報いる。
最も質の高い銀行は、純資産価値(NAV)に対してプレミアム価格で取引されており、例えばJPモルガン・チェースは2倍以上だ。
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