ポリゴンとAvail双方に利点
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のスケーリングソリューションを提供するポリゴン(MATIC)は16日、カスタマイズ可能なブロックチェーンを提供するプロジェクト「Avail」が独立すると発表した。
ポリゴンの共同創業者でAvailの開発を主導してきたAnurag Arjun氏がポリゴンを離れ、独立した自己資金プロジェクトとしてAvailを続ける格好だ。
Availは、新たに非営利財団を設立し、最終的には分散型モデルでコミュニティが運営していくものになる予定だとしている。テストネットをすでに公開しており、今後のロードマップとメインネット立ち上げについても近日中に発表する計画だ。
ポリゴンは、Avail独立は、ポリゴンとAvailの双方にとって利点があるとして、次のように説明した。
Availは、独立することで、様々なWeb3プロジェクトにスケーラビリティをもたらすブロックチェーンアーキテクチャを市場に投入する上で、より良い立場をとることができる。
Availは、Anurag氏のチームによる新たな事業体の下で、プロトコルにとらわれず、オープンソースの、コミュニティ所有プロジェクトとして開発が続けられる。
一方で、ポリゴンの方も、イーサリアムとの連携を強化することに集中することができると続けた。Polygon PoSチェーン、3つのゼロ知識ソリューションなどの製品の開発に傾注することが可能になる形だ。
ポリゴンは、イーサリアムのデータアベイラビリティ(可用性)ソリューションの取り組みに力を入れ、EIP-4844の今後の実装をサポートしていきたいとも述べている。
EIP-4844は、ネットワークが混雑して取引手数料が高騰することがあるイーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するための提案だ。レイヤー2の取引手数料を最大100分の1にすることができるとされる。イーサリアムのコア開発者らは2022年11月、この実装を進めることで合意していた。
関連:イーサリアム、L2手数料を最大100倍削減する「EIP-4844」を実装へ
レイヤー2とは
「2層目」のブロックチェーンのこと。全ての取引履歴をメインチェーンに書き込むと負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。そこで、取引履歴の一部をオフチェーンやサイドチェーンに記載するようにすることでメインチェーンへの負荷軽減や処理速度向上を期待することができる。
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ポリゴンは1月、「ポリゴンラボ」というグループの名の下で全従業員を統一する企業再編計画を発表。2月には、事業部門統合の一環として従業員の約20%を削減している。
Availとは
Availは、開発者がカスタマイズ可能でスケーラブルなアプリケーションを構築できるようにするモジュール型ブロックチェーンだ。モジュール型ブロックチェーンでは、従来では同じチェーンで処理されていたコンセンサス、セキュリティ、データの可用性、実行などの機能を別レイヤーに分けて、個別に処理することが可能である。
Availは土台のコンセンサスレイヤーとなり、その上に他のブロックチェーンや任意の実行環境を持つアプリケーションを構築することができる。データアベイラビリティのレイヤーを切り離すことで、開発者がアプリケーションの構築に集中できるようにするものでもある。
Anurag氏は、主に、ロールアップや、イーサリアムL2「Optimistic」関連のアプリケーションなどで採用事例を想定しているが、これらに限定されないと説明した。
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スケーラビリティ問題とは
取引処理が遅延してしまうような「拡張性」の問題を指す。ブロックチェーンの性質上、1つのブロックの中に書き込める取引データ量が限られていることが原因で、処理が遅延する問題のこと。送金に時間がかかってしまい、それによって取引手数料の高騰につながることがある
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