香港、仮想通貨のOTCプラットフォームを規制へ

OTCを規制する方針

香港の金融サービス・財務局(FSTB)のクリストファー・ホイ局長は2日、暗号資産(仮想通貨)の店頭取引(OTC)を規制する必要があると主張。まもなく規制の枠組みについて協議を開始する予定だと述べた。

ホイ氏は「仮想資産規制の新たな段階」と題した公式ブログで、店舗やオンラインの形態で運営され「一般消費者が容易にアクセス可能」なOTCプラットフォームが、仮想通貨詐欺事件に関与していたと指摘した。

実際、昨年発生した幾つかの無認可の仮想通貨取引プラットフォームをめぐる複数の詐欺事件で、OTCという場が一定の役割を果たし、投資家を欺いてこれらの無認可プラットフォームに資金を誘導した。

香港では2023年、仮想通貨に関する詐欺事件が相次いで発生した。

9月には未登録の取引所JPEXによる大規模な詐欺が発覚。2,360件の被害が確認され、被害総額は約283億円にも上った。11月には、130人以上が総額約23億円(1億2,000万香港ドル)近くを騙し取られたと申し立てたことから、香港警察は仮想通貨取引所Hounaxに対する捜査を開始した。

また、10月にはバイナンスを騙るフィッシング詐欺も発生。11人が約6,650万円以上の損害を被った。

香港では、仮想通貨取引所に対する規制環境が整備され、昨年6月からライセンス制度を含む新たな規制の施行が開始された。一方、OTCに関する規制の枠組みは定められていない。

関連: 香港、仮想通貨取引所の新ルールを6月から施行 上場可能な銘柄などを規定

ホイ氏は昨年10月、JPEXによる詐欺事件に言及し、規制されたプラットフォームを通じて投資することの重要性を強調。OTC取引所に対する規制の枠組みを検討すると発言していた。

FSTBは現在、OTC規制に関する意見を広く一般や業界関係者から募集している。

移行期間の期限迫る

香港では、仮想通貨ライセンス制度が施行される以前から、仮想通貨取引所を運営していた事業者に対して、新システムへの移行措置が認められている。既存の取引所が事業を継続したい場合、今月末までにライセンス申請を行う必要がある。

2月29日までに申請を提出しなかったり、ライセンスの要件を満たしていないと証券先物委員会 (SFC)が判断した取引所は、5月31日までに事業停止を完了することが求められる。

ホイ氏は、ライセンスを取得していないプラットフォームは、規制要件に準拠していない可能性があり、詐欺に関与している可能性も高いと述べた。

また、仮想通貨投資について「多くの仮想通貨には本質的な価値がなく、価格変動が激しいことを投資家に改めて伝えたい」と主張。投資リスクを事前に十分考慮するようにと注意を喚起している。

ステーブルコインの規制

FSTBは香港金融管理局 (HKMA)と共に、ステーブルコインに関する規制整備を進めている。

新たな規制では、法定通貨に連動するステーブルコイン(FRS)発行者にHKMAが発行するライセンスの取得の義務付けが提案されている。同時に香港でFRSの発行を計画している事業者には、規制準拠の指針を提供するサンドボックス制度も導入するという。

ステーブルコイン規制に関するパブリックコメントの受付も、今月末で終了することから、ホイ氏は利害関係者に意見の提出を呼びかけた。

ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。/p>

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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