第一商品子会社発行の金連動型ステーブルコイン「Kinka Coin」、海外取引所に上場

国内企業子会社発行のKinka Coinが上場

金の価格に価値を裏付けられた暗号資産(仮想通貨)「Kinka Coin」が、暗号資産取引所CoinW Exchangeで取扱銘柄に指定(リスティング)された。

上場企業の第一商品株式会社が、海外子会社「Kinka(BVI),Ltd.」の発行するトークン情報として発表した。

CoinW Exchangeは、2017年にローンチした大手暗号資産交換業者。200以上の国や地域で800万人以上の顧客基盤を有し、複数の国の金融ライセンスを保有する。取り扱い銘柄数は1000以上で、40以上の法定通貨による取引に対応する。

CoinW Exchangeの広告塔には、元イタリア代表のサッカー選手「アンドレア・ピルロ」が務めている。

資産価値としての金

金(ゴールド)は、装飾品としての利用方法のみならず、その希少性・安定性から米ドルや債権よりも価値保存の効果が高く、投資や資産運用のリスクヘッジに用いられる「安全資産(代替資産)」として知られてきた。

2022年2月以降は、ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めた影響や、2023年10月のイスラエル情勢の悪化を受け、「有事の金」買いで金価格が上昇した。米ニューヨーク金先物相場では2023年12月、3年4カ月ぶりに史上最高値を更新している。

米ドル離れも「金」への資金移動を促したとの見方もある。中国やロシアは、世界的なインフレや米国との経済・地政学リスクを背景に、外貨準備高における金の保有量を急速に増やしているとみられる。

米ブルームバーグが2023年7月に報じたところによれば、中国人民銀行(中央銀行)保有する金地金は、総保有量2330トンに達した。

米国の債務上限問題に端を発するデフォルト危機やロシアへの経済制裁を受け、この傾向は、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカで構成する新興5カ国(BRICs)全体にも波及している。

Kinka Coin保有のメリット

Kinka Coinは、イーサリアムブロックチェーンで発行される「ERC-20」規格に準拠したトークンであるため、web3プロジェクトや分散型アプリケーション(dApps)などのエコシステム間での互換性が高い。

発行を管理するスマートコントラクトは、ブロックチェーン監査のパイオニアである「CertiK」の監査を受けている。

Kinka Coinの価値は、保管庫に保管されている1トロイオンスの金地金に相当し、金価格に1:1で裏付けられる。英ロンドンの貴金属市場協会(LBMA)が定めるグッド・デリバリー・スタンダードの基準を満たし、日本の金融庁の規制対象である「大阪取引所」指定の金地金のみが用いられている。

Kinka Coinに裏付けられた純度99.99%の金地金の多くは、日本の大阪取引所に上場されている金先物市場の指定銘柄だ。

東京証券取引所スタンダード市場上場企業の第一商品株式会社は、1996年に東京証券取引所に上場し、金取引に強みを持つ国内有数の金融サービス企業である。

1981年に金地金の販売を開始し、40年以上にわたり日本の投資家の資産運用を支えてきた。2002年4月から2020年12月までに累計150トンを超える金地金の取扱実績があり、金現物市場において確固たる地位を確立している。

2024年1月に掲載されたTechbullionのインタビューでは、「ステーブルコインのあるべき姿を再考すること」をビジョンとし、国の通貨が紙幣の増刷によってインフレする中、ステーブルコインは価値の保存をブロックチェーン上に実現可能だと言及した。

その上で、米ドルの価値に疑問を呈す人々が、金などの安全資産に資金を移していることを指摘。高度に規制された日本の金に対して価値を保ち、保管場所として市場に提供する意義を強調した。

金への投資をポートフォリオに追加できるという点で、他の金担保投資と似ているとしながらも、紛失・盗難リスクといった金の保管・保有コストをKinka Coinの保有によって無くすことが出来るメリットの大きさを主張した。

銀行のようなカストディサービスは管理手数料が高価で、すぐに取り出す事もできない。金地金の取引は流動性が低く、高額な取引手数料がかかる専門的なルートでしか利用できないというデメリットが解消されるという。

その点、ブロックチェーンであれば国境の概念がなくグローバルで、高い信頼性と透明性があり、中央集権型ではなく分散型であるため、取引相手が契約上の義務を履行できないカウンターパーティーリスクとは無縁という大きなメリットがある。

現在の日本国内には、法的に認められたステーブルコインは存在せず、テザー(USDT)をビットコイン(BTC)に交換するような手段が不十分と言えそうだ。」ファンドなどの機関投資家や個人投資家にとって、規制された方法でオンチェーン上に安全に資産を保有する方法は限定的であり、既存の規制の枠組みでは透明性の欠如と言う指摘もある。

この点においても、Kinka Coinが新しい価値と役割を提供できるかどうか注目されるところだ。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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