12月開始予定の「Bakkt版ビットコイン先物取引」仮想通貨年末相場への影響と専門家の意見まとめ
- Bakktがビットコイン先物取引を今年12月に取引開始予定
- ニューヨーク証券取引所の親会社であり、仮想通貨取引所Bakktを運営するインターコンティネンタル取引所が12月12日から現物決済ビットコイン先物の取引を開始する事を発表した。
- 仮想通貨市場への影響
- 昨年のビットコイン先物取引開始前後で見られた価格への影響のほか、市場回復の大きなカギとされるビットコインETF、機関投資家の参入にも良い影響があると期待されている。
- Bakktとは
- インターコンチネンタル取引所(ICE)が運営する今年8月に発表された仮想通貨取引所プラットフォーム。ビットコイン先物を筆頭に、仮想通貨を支えるインフラを提供するような商品を今後も公開していく方針。
現物決済ビットコイン先物が12月12日取り扱い開始決定
ニューヨーク証券取引所の親会社であり、仮想通貨取引所Bakktを運営するインターコンティネンタル取引所は本日未明、現物決済のビットコイン先物の取引を12月12月から開始する事を発表した。
ICEが本日発表した公式声明では以下のように述べられている。
ICE Futures US社は12月12日水曜日、新たにBakktビットコイン(米ドル建て)先物取引の取り扱いを開始します。
現物決済の1日先物取引はBakkt LLC、ICEの仮想通貨ウェアハウスで管理されるビットコインの先物取引で、ICE Clear US社によって清算されます。
先物取引はドルで取引され、ビットコイン先物契約を一つ購入された場合、ユーザーの口座に1BTC届くものとなっています。
今回の発表は世界最大級株式市場であるニューヨーク証券取引所の運営を行うインターコンティネンタル取引所(ICE)からされたもので、8月3日に発表された仮想通貨取引所Bakktはマイクロソフト、スターバックス、ボストンコンサルティングなどの有名企業と共にICEの仮想通貨市場参入を意味する重要なニュースとなっていた。
またビットコインの先物は現在CMEとCboeが取り扱っているものの、現物決済のビットコイン先物取引は米国の規制下では今回が初となる。
現物を基準とした先物取引という点は、非常に重要で、直接的な現物市場にも大きな影響が期待されている。
現在低迷が続く仮想通貨市場の中で、Bakkt開始の報道は大きなニュースとなっており、一部ではビットコインETFの承認よりBakktの方が重要だと示す声もある。
アメリカの仮想通貨調査企業、Ironwood Research Groupがその一部で、同社はBakktに関する公開討論で、
…「先物取引」を開始することで、機関投資家を十分に満足させることができた場合、仮想通貨市場に大きな衝撃をもたらすことになるだろう。 私の考えでは、Bakktは「ビットコインETF」以上に重要や役割を持つ可能性がある。
と述べ、機関投資家の参入障壁を下げる可能性があるとして期待感を示している。
またそれだけでなく、米SECのビットコインETFに対する見方も変える可能性を期待視する声も出ている。
Bakktのビットコイン先物|市場への影響とは
またビットコイン先物取引開始のニュースは昨年の仮想通貨市場ブームにつながった大きな要因の一つとされている。
実際2017年12月11日に開始したビットコイン先物の前後でビットコイン価格は驚異的な上昇を見せた。
特に12月6日から8日にかけては3日足らずで50%近い高騰を記録した。
現在ではCMEやCboeがすでに業界参入しているため、状況こそ違うものの、ICEという巨大金融企業の参入やBakktのオープンを考えると、今年もBakktのビットコイン先物の取引が開始される12月12日前後が重要な局面として意識される可能性も予想できる。
機関投資家の市場参入への影響
まず、「Bakkt」のCEOKelly Loeffler氏は8月21日、Bakktのビットコイン先物取引について、「一定の証拠金(マージン)を銀行に預けて為替取引をする「信用取引(マージントレーディング)」のようなサービスは提供しないと明言し、現物決済とレバレッジ無しにおける重要性を以下のように説明した。
- ・価格発見に最も重要な要素は、現物引き渡しだ。
- ・既存の現金決済先物取引所やレバレッジがかけられる仮想通貨取引所と区別し、市場の統合を確保するために、ビットコイン(BTC)の売買はすべて担保される現物によるものであり、ビットコイン先物契約で「信用取引」サービスは提供しない。
- ・安全かつ規制されたカストディ・サービスの下で、機関投資家や個人投資家も仮想通貨市場に参加しやすくなる
※特に注目すべきところは、「価格発見」という、信頼が求められる通貨の価格構成とされている。
Bakktのビットコイン先物取引開始は1月以来、停滞が続く仮想通貨市場の回復の為に必要とされる機関投資家の参入につながることが期待されている。
停滞が半年以上継続している2018年では、上述のビットコインETFや機関投資家の参入に対する期待感も下がりつつある感じが否めない。
実際、先週も大手金融企業であるFidelity(フィデリティ)Investmentsが仮想通貨サービスを提供する為、新規子会社を設置する方針を発表したが、相場への影響はさほど見られなかった。
アメリカ初のビットコイン投資ファンド会社であるPantera CapitalのCIOであるクルッグ氏はBloombergとのインタビュー内で以下のように述べた。
今市場に必要なのは回復につながるシステムの採用です。
処理能力を向上しなければ市場に人を呼び込めません。
…(市場回復には)相場を動かす大きな動きが必要です。
仮想通貨取引所Bakktは最大級の株式市場を運営するICEによって設立されている為、機関投資家が現在欠けていると感じる安心感を与える事が期待されている。
金融機関はICEに見出される信用、インフラと規制(遵守における)安定感を求めている。
またその他でも仮想通貨特化型の商業銀行「Galaxy Investment Partners」のCEOを務めており、CoinPostでも取り上げているMichael Novogratz氏はツイッター上で以下のように期待を示した。
Bakktが12月12日からビットコイン先物の取引を開始
以前、SECはビットコインETFを却下した際、ビットコイン先物市場の規模と流動性の不足を却下した理由の一つとして挙げていた。
Bakktの参入はSECの見方を変えるかもしれない。
変えるだろう。
そういった上で約2ヶ月足らずで取引が開始されるBakktのビットコイン先物はカギとなる可能性がある。
相場回復の為に重要視されるビットコインETF
仮想通貨市場でもうひとつ重要な材料としてアメリカ証券取引委員会(SEC)のビットコインETF承認が挙げられているが、Bakktのビットコイン先物はこちらの状況も変える可能性を持っている。
昨年から一貫してビットコインETFの申請を却下し続けるSECに対し、大手金融企業のVanEckやウィンクルボス兄弟は工夫を加え、諦めずに申請を続けている。
しかし8月下旬、再びアメリカ証券取引委員会(SEC)は9つのビットコインETFへの申請を却下した。
9つの申請の内、3件は昨年12月にCFTC(商品先物取引委員会)の承認の上で開始されたCboeとCMEのビットコイン先物に基づいたETF商品だった。
米SECがビットコインETFに対する懸念点の一つとして、規制に準じていない仮想通貨取引所のビットコインに頼る事を挙げていた為、既に米国の規制機関であるCFTCから許可されたビットコインETFはその懸念を払拭する事が期待されていた。
しかし最終的にSECは9つのビットコインETF申請を却下し、その要因の一つとしてビットコイン先物市場はビットコインETFの基盤とするには規模が足りない事を挙げた。
(SECがビットコインETF申請を却下したその他の理由はこちらで解説。)
現在ビットコインの先物市場はCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)とCboe(シカゴ・オプション取引所)が主体となっており、開始したのは昨年12月からだ。
その為、世界最大級の株式市場であるニューヨーク証券市場を運営しているICEが発足したBakktの市場はビットコイン先物市場に流動性をもたらすのではないかと期待されている。
このように仮想通貨市場の回復に重要視されるビットコインETFと機関投資家の参入、2つのキートピックに影響がある為、今後もBakktの動向には注目していく必要があると言える。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します