SEC弁護士2名が辞任、仮想通貨関連訴訟で「重大な権力乱用」と非難受け  裁判所はSECに制裁を課す

SEC担当弁護士が辞任

米仮想通貨企業Debt Boxに対する訴訟において、連邦地裁が「重大な権力乱用」を理由に米国証券取引委員会(SEC)に制裁を課したことを受け、同委員会の担当弁護士2名が辞任したことがわかった。ブルームバーグが、匿名の関係筋の話として22日に報じた。

辞任したのは、同訴訟の主任弁護士を務めたマイケル・ウェルシュ氏とジョセフ・ワトキンス氏。両人はSEC当局者から「辞任しない場合は解雇する」と告げられ、今月辞任したという。

訴訟を審理している米連邦地方裁判所ユタ地区のロバート・シェルビー判事は、同訴訟では「虚偽の陳述や不実な表示、証拠の欠如」といったSECの行為により、「司法手続きの完全性が実質的に損われた」と当局の対応を非難。同判事は先月、SECに対して制裁を課すという異例の措置を講じた。

訴訟の背景

SECは昨年7月、DEBT Boxが「ノードライセンス」と称する未登録証券を販売し、数千人の投資家から4,900万ドル(約75億円)超を詐取したとして提訴。同社に対し、暫定的差し止め命令(TRO)の発動を求める申請書を提出した。

ユタ地方裁判所は、SECに対する審問後、DEBT Boxの資産を凍結するTROを発動したが、9月に被告側がTRO取り消しの申し立てを提出。この申立てに対する審理で、SECがTROが発行されないことで「取り返しのつかない損害が生じる」事実を示さなかったため、裁判所は「TROは不注意に発行された」と結論づけ、10月にTROを取り消した。

その後、シェルビー判事は12月の裁判所命令の中で、SECがTRO申請に関して「著しく虚偽で誤解を招く」証拠を提示して裁判所を説得した可能性があるとして、規制当局に「裁判所がSECに制裁を課すべきではない理由」を示すよう、SECに命じた。

この裁判所命令を受け、SECは同月、不正確な発言があったと認め、謝罪した。

一方、職員に対する特別研修の義務付けや、経験豊かな弁護士を監督役に任命するなど「広範な是正措置」を講ずるため、裁判所による制裁の必要はないと主張した。

関連:米SEC、仮想通貨企業に対する訴訟で過ちを認めて謝罪

SECへの制裁

シェルビー判事は3月18日、SECは、DEBT Box社に対する資産凍結とTROの発動を獲得するため「悪意」を持って行動し、「意図的に虚偽を継続させた」と厳しく批判した。

それは単なる単独の不正確な発言や不注意による誤った陳述ではなかった。委員会がTROを求める際に提供した各証拠は、その後TROを擁護する際に繰り返し表明されたが、虚偽、事実誤認、誤解を招くものを組み合わせたものであることが判明した。

シェルビー判事は、SECに対し、被告の弁護士費用と訴訟費用の支払いを命ずることで、制裁を課す判決を下した。ただし、この命令は規制当局の違法行為に焦点を当てたものであり、「訴訟の根本的なメリット」に対しての意見を提供するものではないと、付け加えた。

訴訟は継続

ブルームバーグによると、Debt Boxと当事者の弁護団は先週、SECに対し、訴訟関連の費用として、150万ドル(約2億3,200万円)の支払いを求める申し立てを提出した。

SECは2月、Debt Boxに対する訴訟を「他の権利に影響を及ぼすことなく」却下するよう求めていたが、シェルビー判事は先月、これを拒否した。この形式で訴訟が却下された場合、SECは被告を再度起訴することが可能だった。

SECは今月初めに、再起訴の可能性のない形式で、改めて同訴訟を棄却する申し立てを行なっているが、裁判所はまだ判断を下していない。

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