イーロン・マスク氏のAI企業「xAI」、9,400億円を調達
「xAI」が9,400億円を資金調達
イーロン・マスク氏が2023年に設立した人工知能(AI)関連企業「xAI」は26日、シリーズBラウンドで60億ドル(約9,400億円)を資金調達したと発表した。
Valor Equity Partners、Vy Capital、アンドリーセンホロウィッツ(a16z)、セコイアキャピタル、Fidelity Management & Research Company、サウジアラビアの王族で投資家のアルワリード・ビン・タラール王子やその他が出資している。
今回集めた資金は、xAIの最初の製品の市場投入、高度なインフラストラクチャの構築、将来のテクノロジー研究開発の促進に充てる計画だ。
マスク氏は、事前の企業評価額は180億ドルだったと補足した。今回のラウンドにより企業価値は240億ドル(約3.8兆円)に増加したことになる。マスク氏は、今後数週間で、また新たなアナウンスがあるとも予告している。
xAIは「宇宙の本質を理解すること」を使命として掲げている企業だ。「真実や事実を追求し、人類すべてにとって最大限の利益をもたらすAIシステム」を開発するとしている。
なおマスク氏は以前、OpenAIのチャットボットに偏見があると指摘しており、xAIの製品がChatGPTに対抗する態度を示唆していた。
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独自AI「Grok」はGPT4に匹敵
「xAI」は、昨年に「宇宙を理解するための会話AI」と銘打たれたチャットボット「Grok」を発表した。最近は、より長いテキストを理解することのできるように改良された「Grok-1.5」、画像理解機能を備えた「Grok-1.5V」をリリースしている。
「Grok-1.5」は、高度な数学能力を計る指標「MATH」で50.6%、基礎的な数学能力を測定する指標「GSM8K」90%のスコアを達成した。コード生成と問題解決能力を評価する指標「HumanEval」では74.1%を獲得している。
「MATH」と「GSM8K」では、数パーセントだけOpenAIのGPT4におよばなかったが、「HumanEval」ではGPT4の67%を上回った。
Grokは、数万のGPUで構成されるシステム上で開発された生成AIモデルだ。2023年9月までのウェブデータを活用してトレーニングを行っている。また、人間のアシスタントからのフィードバックによって補強された。
ウィットに富んだ回答やXのプラットフォームから最新情報を取得することも特徴に挙げられている。
Grok-1.5はソーシャルメディアXの米国などのプレミアムユーザーの一部で使用できるようになっている。
なお、OpenAIは13日にテキスト、音声、画像を入出力することができる革新的AIモデル「GPT-4o」を公開したところだ。同時通訳やじゃんけん、スマホのカメラでとらえた画像を音声で説明する、数学を教えるなど、様々な使い方が紹介された。
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OpenAIとマスク氏の関係
マスク氏は、アルトマン氏らと共に2015年にOpenAIを設立したが、その後2018年に取締役を辞任した。今年3月には「人類の利益のためのAI」という当初の契約に反しているとしてOpenAIを提訴している。
マスク氏は、OpenAIの「GPT4」がすでに汎用人工知能(AGI)のレベルに到達していると主張。このAGIが人類の利益ではなく、実質的にマイクロソフト社やその他個人の利益に資するためのものとなることを懸念していた。
訴状によると、マスク氏は2016年から2020年までに、OpenAIに4,400万ドル(約69億円)以上を寄付している。この数年間にわたり最大の寄付者だった。取締役を退任した際には、同社より営利部門の株式提供の申し出があったが、受け取りを辞退している。
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