週央のCPIとFOMC結果次第で、ビットコインは出鼻を挫かれる可能性も|bitbankアナリスト寄稿
6/1(土)〜6/7(金)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週、6/1(土)〜6/7(金)の仮想通貨相場の仮想通貨相場週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円は確りとした推移となり、7日正午時点ではおよそ2週間ぶりに1100万円台で推移している。
先週末に起きた国内での不正BTC流出事件を受けて、一時は1050万円近辺まで値を下げたBTC円だったが、材料を週末のうちに消化すると、今週は買い戻しが入り、小締まる展開で取引を始めた。
また、Roaring Kittyことキース・ギル氏が1.8億ドル相当のゲームストップ株(GME)の保有を明かすと、一部ミームコイン相場が上昇した。
一方、BTC円が1100万円にタッチしたタイミングでドル建てBTCは下降チャネル上限にタッチし反落。さらに、この日はNY証券取引所(NYSE)でシステムの不具合が発生し、60銘柄を超える株の相場が乱高下した結果、取引が中断され、それを嫌気した米株市場の下落につれてBTCも上値を重くした。
しかし、数時間後にはNYSEの取引が再開され、BTCは1060万円台で踏みとどまると、翌4日には4月のJOLTs求人件数の下振れを受けて上値を追う展開に転じた。
さらにこの日は、米国の現物ビットコインETFに3月以降初めて8億ドルを超える資金の純流入が確認され、BTC円は1100万円乗せに成功、ドル建てでは遂に下降チャネルからのブレイクアウトに成功した。
その後も米労働需給の緩和を示すデータや、ECBの利下げといった材料があったが、7日の米雇用統計を控え様子見ムードが強まり、相場は1100万円台前半で踊り場を形成している。
5月31日に発表された4月米個人消費支出(PCE)価格指数はほぼ横ばいと無難な結果となる中、国内ではBTCの不正流出事件が発覚し、先週のBTCドルは結局下降チャネルのブレイクアウトに失敗したが、米労働市場の需給逼迫改善が示唆されたことで、相場は遂に今週チャネル上限を上抜けた。
ただ、7日の米雇用統計を控えブレイクアウト後の相場は上げ渋っており、同指標が目先のBTC相場の方向感を決める取引材料となりそうだ。
パターンフォーメーションの観点からは、ブレイクアウト後の相場はチャネル形成直前の値動きと同等幅動くと言われ、今後約2週間の間にBTC相場は9万ドル近辺まで上昇余地があると指摘される(第2図)。
来週は週央12日に5月の米消費者物価指数(CPI)の発表と、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)の最終日が重なる。
4月の米CPIの上昇は、エネルギー価格の上昇が主導していたと言え、5月の伸びはさらに鈍化すると指摘され、それほど警戒していないが、FOMCは6月会合後に経済見通しの最新版を公開する予定で、前回の見通しと比べて年内の利下げ回数想定(3回)がどれだけ減っているかが予想しづらい。
市場の年内利下げ回数のコンセンサスとしては、9月と12月の計2回となっているが、Q1のインフレ高止まりによってFOMCメンバーの多くは慎重姿勢を強めている。
4月のインフレ指標の改善や直近の労働需給緩和も勿論のこと加味される筈だが、年内の利下げ回数想定が1回にまで減ってしまうと、折角下降チャネルからブレイクアウトしたBTCは出鼻を挫かれる可能性があるだろう。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:31日の米PCE結果はブレイクアウトの成功を左右する材料となり得る|bitbankアナリスト寄稿
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